OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
私たちは普段の生活の中で、さまざまな陶器を利用しています。
例えばマグカップやお皿など、陶器にはさまざまな種類があります。
そして、陶器はカラーリングも実にバリエーション豊かです。
ベーシックな白いマグカップから、高級感のある黒いお皿まで、シーンに応じて、あらゆる色の陶器が活躍しています。
また最近では、自分だけのオリジナルマグカップやお皿を気軽に作ることもできます。
せっかくオリジナル陶器を作るなら、自分好みの色にしたいですよね。
実はマグカップやお皿をカラーリングするには、「釉薬」というアイテムが欠かせません。
そこでこの記事では、そんな「釉薬」に焦点を当ててマグカップやお皿のカラーリングについて詳しくご紹介します。
釉薬の役割や作り方、釉薬でできる多彩な表現をぜひご覧ください。
陶器の色付けに必要な釉薬
釉薬とは
釉薬は訓読みで「うわぐすり」、または音読みで「ゆうやく」と読みます。
では、そもそもこの釉薬とは何なのでしょうか。
釉薬は、「素焼き」後の陶器の表面をコーティングするための液体状の薬品です。
素焼きが終わった後、釉薬を陶器全体にかけ、1,200℃~1,250℃で「本焼き」を行ないます。
すると釉薬が陶器の表面全体を覆うように固まり、陶器の表面がコーティングされるのです。
元々、陶器は土を原料に形作られています。
成分調整した専用の土を成形し、それを800℃前後の窯で焼き上げます。
この工程を「素焼き」と呼びます。
ちなみに800℃前後で焼き上げた後に、釉薬をかけずにそのまま本焼きの温度まで上げて焼成し販売される焼き物も少なくありません。
備前焼などといった焼き物は、釉薬を使わないことでも有名です。
しかし私たちが飲食用で利用するお皿やマグカップなどの陶器は、素焼きを終えた後に釉薬をかけることが一般的です。
この理由については次の項目で詳しくご説明します。
釉薬の役割について
釉薬は飲食用の陶器にとって必要不可欠な存在ともいえます。
釉薬には以下のような役割があります。
陶器の表面に汚れを付きにくくする
釉薬をかける前の陶器は、土特有のザラザラとした質感があります。
この質感を味わいとして残すために、あえて釉薬をかけずに販売される焼き物も少なくありません。
しかし飲食用の陶器を作る場合、表面がザラザラしていると汚れが付きやすく落ちにくいというデメリットがあります。
汚れが表面に付いてしまうと、そこがカビや雑菌の温床になってしまいかねません。
また食べ物や飲み物の色が、陶器に沈着してしまうことも懸念されます。
そこで利用されるのが釉薬です。
釉薬をかけると、陶器の表面がコーティングされます。
これにより、土がむき出しになっている状態よりも簡単に洗浄できます。
汚れを落ちやすくすることで、長く清潔に使うことができるというメリットがあります。
食の安全性を高める
釉薬は陶器の安全性を高めるためにも利用されます。
素焼きをしたままの状態では、焼き物としての強度は不十分です。
もちろん、観賞用の焼き物なら欠けても食の安全性には何の問題もありません。
基本的に素焼きの状態のものを食器として使用することはありませんが、土が欠けやすいということは誤飲のリスクがあり、これでは利用者の危険につながります。
そこで素焼きの後に釉薬をかけ、陶器全体をコーティングすることで、強度のある焼き物が出来上がります。
ちなみに釉薬は本焼きを終えると、しっかりと固まるので土のようにもろく崩れることもなく、安全性の担保につながります。
さらに飲食で利用する陶器には、日本では食品衛生法において鉛やカドミウムの溶出基準値が定められています。
飲食に用いられる陶器はこの溶出基準値をクリアする義務があります。
国産の陶器に使用される釉薬にはこの基準値を遵守したものが使用されているので安心です。
土が水を吸わないようにする
陶器の素材である土には小さな穴が開いており、そこから水を吸う性質があります。
素焼きのままの陶器に水を注げば、土に少しずつ水がしみ込んでいくでしょう。
例えばこれが、コーヒーを注ぐマグカップだとしたらどうでしょうか。
マグカップがコーヒーを吸ってしまうことになります。
釉薬はこうした土の穴をふさぎ、吸水性を無くす役割も担っているのです。
ちなみに釉薬はガラスを主成分とする素材なので、吸水性はありません。
陶器の耐久性を上げる
釉薬で陶器をコーティングすることにより、陶器自体の耐久性が上がります。
釉薬をかけることで土特有のもろさや吸水性がカバーされ、長く丈夫に使える陶器を仕上げることができます。
もちろん釉薬をかけたからといって、陶器が割れなくなる訳ではありません。
しかし素焼きのままの状態と比べると、釉薬をかけることで表面がガラスのように強くなり、破損や欠損のリスクも低くなります。
陶器に色を付ける
釉薬は陶器をカラーリングする役割も担っています。
陶器で色を出す方法は、2種類あります。
1つは透明の釉薬を使って、土そのものの色をそのまま表現するという方法です。
そしてもう1つは、釉薬で陶器をカラーリングする方法です。
後者の場合、釉薬に金属成分などを混ぜることで赤や青といった色を表現することができます。
この際、元々の土の色は釉薬に覆われることとなり表現されません。
釉薬で表現できる陶器の色については、後ほどまた詳しくご紹介します。
陶器の質感を表現する
釉薬を利用して、陶器の質感を変えることもできます。
釉薬はツヤツヤとして質感を表現できるほか、ツヤの消えたマットな質感も表現可能です。
質感を変えると、陶器の印象はガラッと変わります。
自分だけのこだわりの陶器を作りたいという方にとって、釉薬の持つ表現の奥深さは必見です。
釉薬の成分
釉薬は、主にガラス成分でできています。
中でも、ガラスの原材料の一部として使われる「長石(ちょうせき)」の含有割合が最も多く、全体の4~6割を占めています。
そして次に多いのがガラスの主成分である「珪石(けいせき)」と呼ばれる成分です。
珪石は、全体の約2~3割を占めています。
またこれらに加えて、釉薬には「石灰(せっかい)」や「亜鉛華(あえんか)」などを混ぜます。
「石灰(せっかい)」や「亜鉛華(あえんか)」を「長石」「珪石」と一緒に攪拌すると、ドロドロとした液状になります。
このおかげで、陶器をムラなくコーティングすることができます。
ちなみに釉薬で陶器をカラーリングする場合は、釉薬に金属成分を主原料とした色素を混ぜます。
例えば「コバルト」や「クロム」「ニッケル」といった金属成分です。
このような金属成分を調合し、釉薬に混ぜることで美しくカラーリングすることができます。
釉薬が出来るまで
では続いて、釉薬がどのように作られるのか見ていきましょう。
釉薬の作り方は以下の通りです。
①「長石」「珪石」「金属(必要に応じて)」を固形から粉末状に加工する
②攪拌専用のマシンで「①の粉末」と「水」「石灰」「亜鉛華」等を混ぜ合わせる
このように、釉薬の作り方はいたってシンプルです。
まず原材料を全て粉末状に加工し、その後水と一緒に攪拌専用のマシンで混ぜ合わせるだけ。
石灰や亜鉛華は元々粉末状なので、加工する手間がありません。
ちなみに、「長石」「珪石」をはじめ、すべての原料はいずれも水には溶けません。
つまり攪拌専用のマシンを使っても水に溶けてしまうことはなく、粉末が内部で攪拌されるだけです。
時間を置くと「長石」「珪石」などの原料と水は分離し、原料は沈殿してしまいます。
そのため釉薬は、使用する前に再度攪拌し、濁った状態で使用します。
釉薬を使って表現できるもの
赤・青など、カラフルな陶器
先ほどご説明した通り、釉薬を使って陶器をカラーリングする場合、釉薬には金属成分を配合します。
金属の配合によって表現できる色が決まっており、金属の調合によって微妙な色合いの違いを表現することができます。
金属成分を配合した釉薬の中でも、特に銅を配合した「織部釉・緑釉(りょくゆう)」や、鉄を加えた「青磁釉」、「飴釉」などは非常に歴史が長く有名です。
「織部釉・緑釉(りょくゆう)」は緑や青緑色の風合いが美しく、千利休の弟子である古田織部が茶器として用いたことがきっかけで普及しました。
「青磁釉」は中国発祥の釉薬で、深みのある落ち着いた青色が特徴です。
「飴釉」は「青磁釉」と同じ鉄を配合した釉薬でありながら、あたたかみのある美しい飴色が表現されます。
このように、釉薬を使ったカラーリングには長い歴史があります。
現代では釉薬のカラーバリエーションもさらに増え、ビビットな赤やネイビー、オレンジなど様々な色の陶器を作ることができます。
ちなみに釉薬は1,200℃~1,250℃の本焼きを経て、初めて美しい色合いが表現されます。
つまり焼きあがるまでは、陶器の色がどうなるか分かりません。
それを絶妙な金属成分の配合で見極め、出したい色を表現するのが職人の技といえます。
土の色を見せる透明釉
土の色をそのまま陶器に活かしたい場合、「透明釉」という釉薬を用います。
この釉薬には金属成分が一切入っておらず、その名の通り透明です。
例えば白さの高い土を用いて成形・素焼きを行い、透明釉をかければ土本来の美しい白さがそのまま表現できます。
この場合色の純度(白度)が低い土を使うと、白さがくすんでしまったり、グレーがかったりしてしまう可能性があります。
つまり土の色の純度が高ければ高いほど、透明釉で素材の良さを引き出せるということです。
もちろん白さを表現できる釉薬を使えば、グレーの土を真っ白な陶器に仕上げることも可能です。
さらに透明釉なら素焼きに直に絵付をし、その上からかけることも可能です。
透明なので、プリントされた柄が透明釉を通して見ることができます。(この手法を「下絵付」と呼びます)
ツヤのないマットな色も釉薬で再現
釉薬は主にガラス成分でできているので、1,200度~1,250度の本焼きをすると一度溶けたガラス成分が再び固まり、艶やかでツルツルとした質感になります。
一方、マットな質感を再現するためには、「マット調専用の釉薬」を用います。
マット調の釉薬は、一般的な1,200度~1,250度の本焼きをしてもガラス成分が完全に溶け切りません。
そのため釉薬の中に、溶け切らなかったガラス成分がそのまま残ります。
このガラス成分のおかげで、ツヤが消えたようなマットな質感が再現できるのです。
もちろん、安全性や耐久性は通常の釉薬と変わりません。
ただしマット調の釉薬を用いた陶器は、表面がザラつきます。
そのため一般的な釉薬を用いた陶器よりも、長期間使うと汚れてしまいやすいという特徴があるため注意が必要です。
まとめ
マグカップやお皿のカラーリングについてご紹介しました。
釉薬は陶器の安全性や耐久性を高めるだけでなく、好みのデザインを表現するためにも必要な素材です。
ファースト・スティングでは、釉薬を使って表現できるカラーを常時100種類展開しております。
もちろん、ご希望のカラーを調合することも可能です。
また透明釉でも真っ白で美しいお皿が作れるように、純度(白度)の高い土をご用意しております。
このように弊社は土からカラーリングまで、とことんこだわってオリジナル陶器の制作に対応いたします。
自分だけのオリジナル陶器制作を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
理想どおりのデザインを表現できるよう、陶器のプロがサポートいたします。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
陶器には色々な種類があります。
陶器はマグカップやプレートなどの食器をはじめ、ペン立てや花瓶などといったインテリアに使われることもしばしば。陶器はあらゆる場面で私たちの生活に関わっています。
このように私たちにとってありふれた陶器ですが、実はその作り方は様々です。例えば土を使って陶器を形作る「成形」という段階には、複数の作り方があります。あらゆる作り方が、陶器の形や特徴に応じて使い分けられているのです。
そこで今回は、意外と知られていない陶器の成形方法について詳しくご紹介していきます。
陶器について興味のある方、オリジナル陶器の制作を検討している方は必見です。ぜひご参考にしてください。
マグカップやプレートの制作方法について
成形方法には大きく分けて2種類
陶器の成形方法は、大きく以下の2種類に分けられます。
動力成形(どうりょくせいけい)
鋳込み成形(いこみせいけい)
1つは動力成形と呼ばれる作り方です。この作り方は別名、ローラーマシン成形とも呼ばれます。そしてもう1つは鋳込み成形という作り方です。陶器を量産する際の成形は、基本的にこれら2種類の作り方を用います。
いずれの成形方法でも、陶器を作るには型が必要です。成形に使う型は「石膏型」と呼ばれ、「石膏」という素材が用いられています。
石膏とはCaSO4・2H2O、結晶水を含む硫酸カルシウムを含む素材です。ちなみに成形をするにあたり、作られる石膏型は完成品よりも大きく作られます。これは焼成の工程を経て、土が10%~15%縮むことが考慮されているからです。
「動力成形」について
動力成形は一般的に、ローラーマシンという機械を使います。動力成形の場合、石膏型を設置して土を機械に投入しさえすれば、あとの成形は全自動です。
機械には複数の石膏型を設置することができ、一度にたくさんの陶器を成形することができます。そのため多くの陶器を一度に作るのに適しており、生産効率の高い作り方といえます。
では動力成形で陶器を制作する手順を見ていきましょう。①陶器の形に合った石膏型を用意し、ローラーマシンに設置する。
②土練機に通して真空状態にした土をローラーマシンに流す。
③ローラーマシンが自動で土を適量にカットし、石膏型の中に配置する。
④上から金属製のコテが降りてくる。
⑤ローラーマシンは常に回転しており、コテを使って順番に成形する。
⑥石膏型から外し、乾燥させて完成!
動力成形の場合、硬度の高い粘土質の土を用います。この土を石膏型とコテで成形するという作り方です。
また動力成形で陶器を制作すると、基本的に片側が真円状になったものが仕上がります。なぜなら成形する際、ろくろのように回転させながら作っているからです。回転させるうちに角や歪みが取れ、丸い飲み口のマグカップやそこが真円状のプレートが仕上がります。
そのため動力成形では、四角など角張った陶器を作ることはできません。
ただし外側に模様を付けたり少々削れた形にする場合は、石膏型の彫り込みで再現できるものもあります。
「内ゴテ」「外ゴテ」の2種類の動力成形
動力成形は「内ゴテ」と「外ゴテ」という2種類の作り方に分けることができます。
それぞれの特徴や成形方法について見ていきましょう。
内ゴテを用いた動力成形による作り方は以下の通りです。①ローラーマシンが石膏型の中に、土練機に通して真空状態にした土を適量にカットし、セットする。
②石膏型の内側に、棒状で金属製の「コテ」と呼ばれるものが降りてくる。
③コテが高速回転しながら土を押し込み、陶器の内側が円形に成形される。
④石膏型から外し、乾燥させて成形完成!
つまり内ゴテは文字通り、金属製のコテが石膏の内側に当てられます。例えるならろくろを用いる時の外側の手が石膏型、内側の手がコテといったイメージです。
外ゴテを用いた動力成形による作り方は以下の通りです。①ローラーマシンが石膏型の上に、土練機に通して真空状態にした土を適量にカットし、セットする。
②その上から円盤のように大きな金属製のコテが降りてくる。
③石膏型を覆い込むように、コテが土をプレスする。
④回転しながらコテが形を整え、陶器が円形に成形される。
⑤石膏型から外し、乾燥させて成形完成!
外ゴテの場合は、コテが石膏型を覆うように大きいのが特徴です。内ゴテはコテが陶器の内側を成形していました。
それに対し、外ゴテの場合はコテが陶器の外側を成形します。つまり、外ゴテで成形する場合、陶器は上下逆さまの状態です。陶器の内側を石膏、外側をコテが成形するという仕組みになっています。
「鋳込み成形」について
鋳込み成形という作り方について見ていきましょう。鋳込み成形もまた、以下の2種類に分類することができます。
圧力鋳込み
ガバ鋳込み
鋳込み成形を用いると、動力成形では作れない四角や楕円形の陶器が作れます。
鋳込み成形はろくろのような、回転をかけながら成形する方法を用いません。
そのため左右非対称の陶器や角張った陶器など、あらゆる陶器を制作することができます。
「圧力鋳込み」「ガバ鋳込み」の2種類の鋳込み成形
圧力鋳込みについて詳しくご説明します。圧力鋳込みは、動力成型で作れないような変形型のものを作れる成型方法です。
ちなみにこの作り方では、2つの石膏型を用います。1つは陶器の外側を覆う石膏型で、もう1つは陶器の内側にあたる部分を覆う石膏型です。このように圧力鋳込みの石膏型には凸と凹の型があり、陶器業界ではオス型メス型と呼ぶこともあります。
圧力鋳込みを用いた鋳込み成形の手順は以下の通りです。①動力成形でも使用する土に水分を多く含ませ液状の泥のような状態にする。
②対になる凹凸の石膏型を複数用意し、泥の入ったタンクと繋がった場所に積み上げる。
③①で作った泥を、積みあがった石膏型の下から一定の圧力をかけて流し込む。
※圧力をかけて泥を流し込むのは、石膏型の隙間が器の形をしており、その隙間に泥が完全に入り込むようにするため。
④泥の水分が石膏に吸収されて水分が抜けた土に変わるまで、一定時間置く。
⑤2つの石膏型を開き、その中に成形された器に空気をかけながら型から外す。
⑥完全に乾燥させて完成!
圧力鋳込みの特徴は、石膏型の隙間に下から泥を流し込むという点です。流し込む際は一定の圧力をかけながら、蛇口をひねったように一気に流し込みます。
このとき使うのは粘土質の土ではなく、水のような泥です。さらさらとした泥をつかうことで、石膏型の中に隙間なく流れ込ませることができます。
また、圧力鋳込みは石膏型の吸水性をたくみに利用した作り方です。流し込むときはさらさらとしていた泥も、時間が経つにつれて水分を吸われ、ほどよい土へと変化していきます。
続いてガバ鋳込みについてご説明します。
ガバ鋳込みは、ティーポットやとっくりなど、袋状の形で内側が空洞の陶器を作る際に用います。小さな入り口と、内側に空洞があることがガバ鋳込みで作る陶器の特徴です。
例えば貯金箱なども、ガバ鋳込みで成形することができます。日本の伝統工芸、だるまも同様です。
ではガバ鋳込みを用いた鋳込み成形の手順を見ていきましょう。
①陶器を包み込むような形の石膏型を作る。
②石膏型の中に水分含有量の高い泥を流し込む。
③時間が経つと石膏型が泥の水分を吸い、外側より固まり始める。
④外側が固まり、十分な厚みが出たら石膏型の中にある泥を捨てる。
⑤一定時間経ったところで、複数で構成されている石膏型を分解し器を取り出す。
⑥時間をかけて乾燥させ、完成!
ガバ鋳込みの作り方の特徴は、石膏型は外側を成形するものしかないという点です。圧力鋳込みの場合は、陶器の内側と外側を成形する石膏型が対になっていました。
一方、ガバ鋳込みで使うのは陶器の外側を成形するもののみです。つまり内側を成形する石膏型がありません。作り方を見ると分かるように、内側は自然に成形されます。
外側から石膏型が水を吸い、泥が土へと変わる原理をたくみに利用した作り方です。丁度よいタイミングで上下を反転させ、中の泥を抜くことで袋状の形が作れます。この、「ガバっと」泥を抜く作業から、ガバ鋳込みという名がついたのだとか。
また、ガバ鋳込みの場合は石膏型そのものが袋状になっており、乾燥後はそのまま型から抜き取ることができません。そのため石膏型は複数のパーツで構成されており、成形された土を石膏型から抜くときは、複数の石膏型を割って取り出すのも特徴です。ちなみに、このように複数のパーツの石膏型で構成されているものを「割型」と呼びます。
実際のマグカップやプレートの成形について
動力成形で作る陶器
動力成形を用いると、コテが入る部分が円状になっている陶器が作れます。例えば飲み口の丸いマグカップや、円形のお皿などです。内ゴテの動力成形の場合は陶器の内側に一切角が無く、外ゴテの動力成形の場合は陶器の外側が円状になった陶器を作れるのが特徴といえます。これはコテを回転させながら作るという作り方によるものです。回転させると角のない、上下左右対称になった形状が完成します。
ちなみに内ゴテの動力成形の場合、陶器の外側は完全な円でなくても問題ありません。外側は石膏型のデザイン次第で、その風合いを変えることができます。例えば外側を手びねりのような風合いに仕上げることも可能です。こういった陶器は一見では圧力鋳込みで作られたもののように見えることもあります。
しかし陶器の内側がきれいな円状だった場合は、多くの場合動力成形で作られています。また内側は真円でありながら、外側はゴツゴツとした六角形の陶器を作ることもできます。
圧力鋳込みで作る陶器
圧力鋳込みは、対になる凹凸の石膏型で成形する作り方です。つまり石膏型次第で、あらゆる形の陶器を作ることができます。例えば丸い石膏型を用いれば、真円のお皿を作ることも可能です。
それだけでなく、楕円形のカレー皿のような陶器も作ることができます。そのほかにも、焼き魚を乗せる長方形のお皿や真四角の小皿なども圧力鋳込みで作られています。
動力成形で作った陶器は内側が必ず真円になるのに対し、圧力鋳込みで作った陶器は必ずしも真円にならないのが特徴です。
また、圧力鋳込みはさまざまな形の陶器が作れる反面、動力成形よりも量産効率が劣ってしまいます。
ガバ鋳込みで作る陶器
ガバ鋳込みは、外側の形状のみの石膏型を用いる作り方です。陶器の内側を成形する石膏型がいらないため、中が空洞で袋状になっている陶器を作ることができます。例えばティーポットやとっくり、シャンプーの容器などといったものです。
ガバ鋳込みで作られる陶器は中が空洞であれば、外側が必ずしも丸いものとは限りません。
例えば先ほど例にあげたシャンプーの容器は、四角いボトル型を連想する人もいるでしょう。ガバ鋳込みもその点では圧力鋳込みと同様、四角い陶器も作れるのです。
中が空洞で袋状であれば楕円型でも角型でも、成形上問題ありません。石膏型の形状に応じて、いろいろな袋状の陶器を成形することができます。
ちなみにティーポットは、袋状の本体に加えてお茶の注ぎ口がついています。
これは成形の段階から本体と一体で作ることもあれば、別で成形して後からつける場合もあります。
まとめ
陶器の成形方法についてご紹介しました。陶器にはあらゆる成形方法があり、陶器の形状によって使い分けられています。
これらは全て伝統的な日本の技術であり、現在も受け継がれている陶器の作り方です。ファースト・スティングではこうした作り方を駆使し、あらゆる陶器の制作に対応しています。また形だけでなく、陶器の素材やカラーにもこだわった1点ものを作り上げることが可能です。
こだわりのあるオリジナル食器などを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談下さい。柄やロゴの印刷にも柔軟に対応いたします。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
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皆さんは、柄が凹んでいる陶器を見たことがあるでしょうか。デザインを凹凸で表現出来る手法、それを「撥水絵付」と呼びます。
撥水絵付はエンボスデザインとも呼ばれる手法です。光の当たり方による陰影も手伝って、味わい深く温かみのある、エンボス調のデザインが楽しめます。
今回はこの「撥水絵付」の方法や、特徴、他の手法との違いについて詳しくご紹介しています。一般には知名度の低い撥水絵付ですが、実は魅力がたくさん。
世界に1つのオリジナルマグカップを作ろうとお考えの方は、必見です。
撥水絵付でオリジナルのマグカップを作る方法
撥水絵付とは?
撥水絵付とは「下絵付」とよばれる、陶器における絵付方法の1つです。「エンボスデザイン」とも呼ばれます。撥水絵付をすると、柄や模様の印刷面がくぼんだ状態になります。
まるで陶器に刻印をしたようなエンボス調の風合いが撥水絵付の特徴。オリジナルマグカップの制作などによく使われる手法です。エンボスデザインは指で触ると模様やロゴの形が凹んでいるのが確認できます。
表面に凹凸があるので、光の当たり方によって模様に陰影が付くのも魅力の1つ。印刷されたデザインや文字は、マットな風合いになります。
このようなエンボスデザインには、撥水剤を混ぜた下絵の具を利用します。紙に油性のクレヨンで絵を描いた後に水彩絵の具で色を塗ると、クレヨンで描いた絵は水を弾きます。撥水絵付はこれと同じ原理を利用した手法なのです。
つまり、「油性のインク」と「水性の釉薬」との関係をうまく利用した絵付の手法といえます。色の組み合わせは自由度が高く、下地も印刷部分のカラーも豊富なバリエーションの中から選ぶことが出来ます。そのため、あらゆるオリジナルデザインにも対応可能です。
撥水絵付は、個性的なオリジナルマグカップを作るのにおすすめの手法といえます。
撥水絵付での制作工程とは?
撥水絵付の制作工程は以下の通りです。
①800℃で陶器を焼き上げる(素焼き)
②撥水性のある「呉須」というインクで絵付をする
③印刷の上から釉薬を施す(施釉)
④1,200℃~1,300℃の本窯で焼き上げる(本焼き)
⑤完成!
撥水絵付は、素焼きの陶器に釉薬を施す前に印刷を行うのが特徴です。このように釉薬の下の層に印刷を施す手法を、「下絵付」と呼びます。
これに対して、施釉(せゆう)した上から絵付する「上絵付」という手法があります。
撥水絵付において使用されるインクは、「呉須」というもの。これは撥水剤を混ぜたインクです。つまり焼き上げる前は「油性」の性質を持ちます。
そのため上から施釉しても、水性の釉薬を弾いて模様を浮き出させることが出来るのです。これが撥水絵付の最大の特徴といえるでしょう。この手法により、独特なエンボス調のデザインが演出出来ます。
ただし1,200℃〜1,300℃の窯で本焼きを行えば、水も油も焼け飛びます。そのため最終的には「油性」「水性」といった性質は無くなり、安全な陶器として仕上がります。
転写絵付との違いについて
他の絵付方法の一つとして、「転写絵付(てんしゃえつけ)」が挙げられます。この転写絵付と撥水絵付の違いは、「絵付のタイミング」です。
撥水絵付は施釉の前に、素焼きされた陶器の表面に直接絵付をします。これは釉薬の下側に印刷が施される「下絵付」と呼ばれる手法です。
一方、転写絵付の場合は施釉の後に1,200〜1,300℃の窯で本焼成し、一旦無地の陶器として焼き上げます。その後焼き上げた陶器の上に印刷を行います。これは焼きあがった陶器の釉薬の上から印刷を施す「上絵付」と呼ばれる手法です。
つまり素焼きの後(施釉前)に印刷するか、施釉後に印刷するかが、2種類の手法における大きな違いといえます。
手法についてさらに細かく見て行きましょう。撥水絵付は、油性の呉須が釉薬を弾く性質を利用した手法です。そのため仕上がりは、その時々で微妙な個体差が出ます。よく言えば「味わい」です。
これは呉須と釉薬の相性・温度による弾き具合・陶器の収縮具合によるもの。あまりに細い線を印刷しようとすると釉薬を弾ききれず、線の上にわずかに釉薬の色が乗ってしまう場合も。
逆に釉薬が乗るべき場所に乗らず、微妙に素焼きの地色が出てしまうこともあります。ただし全く違うものが仕上がってしまうわけではなく、味わいの範囲の中の個体差です。またこうした個体差もデザインを工夫することで、ある程度目立たないようにすることも出来ます。
このように撥水絵付は量産したとしても、それぞれを1点ものとして楽しめます。
一方転写絵付の場合は、本焼きの後に印刷をします。その際、色ごとに分けて「版」を制作します。版で刷ったデザインは転写紙という紙に印刷されます。この手法はシルク印刷というものです。
そしてその転写紙を陶器に貼り付け、約800℃の絵付窯で柄を焼き付けます。転写絵付は版を用いて一旦転写紙に精密に印刷されたものを絵付するため、量産すると同じものが大量に仕上がります。
つまり転写絵付は個々の仕上がりに個体差が少ない手法なのです。さらに撥水絵付と異なり、細かな印刷も可能。0.2ミリ単位の細さの線をクッキリと印刷することも出来ます。
当然、手法が異なれば陶器の仕上がりも異なります。撥水絵付は先ほどご紹介した通り、印刷部分が釉薬を弾いているので印刷面が凹みます。指で触って分かるくらいの凹凸があり、エンボス調の仕上がりです。
これがエンボスデザインと呼ばれる所以です。撥水絵付は色と凹凸の両方を用いて、柄を表現できるという特徴があります。
さらに撥水絵付は量産すると個々に微妙な違いがあらわれます。個性の光るオリジナルデザインを追求したい方におすすめです。
一方、転写絵付の印刷面は平面です。指で触っても撥水絵付のような凹凸はありません。印刷部分の色と、背景となる色のコントラストで柄を表現します。
さらに細かい印刷も施すことが可能で、個々に仕上がりの差がありません。全く同じものを綺麗な仕上がりで量産したい方におすすめの印刷方法といえます。
飲食店やOEMのオリジナルマグカップ制作などの場合は、こだわるポイントに合わせて撥水絵付(エンボスデザイン)と転写絵付(フラットデザイン)を使い分けるのがオススメです。
撥水絵付に対応している制作会社は少ない
撥水絵付は誰でも出来る手法ではありません。陶器業界内ではメジャーな手法ではあるものの、陶器の扱いに精通している専門の会社でないと難しい手法です。
そのため撥水絵付に対応している制作会社は、少ない傾向にあります。
オリジナルデザインのマグカップ制作会社を検索すると、たくさんの企業が出てきます。しかし、これら全てが陶磁器に精通した専門家のいる会社とは限りません。
陶器の印刷方法の中には、陶磁器の専門的な技術を必要としない「昇華プリント」というものもあります。一般向けのオリジナル陶器制作で検索結果に出てくるものは、大半がこの昇華プリントを用いたものです。
昇華プリントは「昇華プリンター」という機械があれば、簡単に陶器に印刷が出来ます。ある程度のデザインの精度や再現度はあるものの、陶器に関する専門性は必要ありません。
どちらかといえば、Tシャツやスマホケースなどのオリジナルプリントを行っている会社が、昇華プリントのマグカップを一緒に提供していることが多いようです。
こうした理由から、撥水絵付に対応しているオリジナルマグカップの制作会社そのものが少ない傾向にあり、一般的にはあまり知られていない絵付の手法ともいえます。
よりこだわりぬいた撥水絵付のマグカップを作るために
ロゴのようなシンプルなデザインがオススメ
撥水絵付でオリジナルデザインを制作するなら「大きくロゴだけ」、といったシンプルなデザインがおすすめです。
というのも撥水絵付は、印刷にわずかな個体差が出ます。これは撥水絵付そのものが、呉須の撥水性という自然な性質に委ねられた手法だからです。
細かすぎる印刷をすると、デザインによっては柄が消えてしまったりすることもあるのです。
一方、太く大きな文字で描いたロゴなら、わずかに輪郭がぶれても個々の差が目立ちません。さらに大きなロゴなら文字そのものがつぶれることはなく、メッセージ性そのものに支障はありません。
またロゴでなくても、大きめの柄やシンプルな柄なら綺麗に仕上がる傾向にあります。
細かいデザインを再現したい時は白のマグカップ
撥水絵付では、細かいデザインが一切出来ないわけではありません。撥水絵付でオリジナルマグカップを制作する際、元々の色が白いマグカップを使用すれば細かいデザインも表現可能です。
白いマグカップといっても、白い釉薬を施したものではありません。元々の土が白く、施釉しなくても白く焼きあがるマグカップを用います。
素焼きを終えた白いマグカップに、呉須で印刷をします。その際、釉薬は透明なものを使用。これによりマグカップの表面に見える色は、元々の土の白い色と印刷の色のみになります。
この手法なら釉薬が透明なので、乗り具合や弾き具合の誤差で印刷が左右されることはありません。
細かいオリジナルデザインも、しっかりと表現することが可能です。
カラーのマグカップに撥水絵付をする時の注意点
濃い色のマグカップに、薄い色の印刷をする場合は注意が必要です。というのも細かいデザインであればあるほど、印刷のブレが目立ちやすくなってしまいます。
例えば、黒の釉薬に白い文字を入れたいとします。その場合、白い部分には釉薬が乗らないようにしなければいけません。しかし文字自体が細すぎると、意図せず黒い釉薬が乗ってしまい、字が途切れてしまうことも。
逆も然りです。文字の周囲に白で印刷を施し、釉薬の色を文字ロゴとして黒抜きにする場合を想定してみましょう。ロゴがあまりに細いと、抜いたはずの部分に釉薬が乗らない可能性もあります。すると文字は撥水した白背景と同化し、何が描いてあるのか分からない状態にもなりかねません。
また、細い部分に黒い釉薬が乗りすぎて本来撥水の白で表現したい部分にはみ出してしまい、黒い溜まりのような症状になることもあります。
そのためこうした配色の場合は、粗が目立ちにくくなるように印刷を太く大きくするのがおすすめです。また、配色を変えてこうした印刷における誤差を目立ちにくくすることもあります。
マグカップの色と撥水絵付の色を同系色にすると?
ではマグカップの色と撥水絵付の色を同系色にするとどうなるのでしょうか。撥水絵付の場合、同系色同士のデザインは印刷の誤差や粗を目立ちにくくしてくれます。
例えばライトブルーのマグカップに紺色の文字を印刷したい場合は、比較的細かいデザインでも違和感なく表現できる場合が多いでしょう。
さらにマグカップの背景と印刷に同じ色を使うことで、印刷を凹凸のみで表現することが出来ます。つまり完成品はマグカップのそのものの色にプレスを加えて、空押しをしたような状態です。色は背景と同化しても、凹凸があるのでデザインはしっかりと表現できます。
印刷がよく目立つわけではありませんが、お洒落で非常に味わいのあるオリジナルマグカップに仕上がるのが特徴です。
これが転写絵付や昇華プリントになると、文字も背景も同化してしまいがち。同系色の組み合わせでもオリジナルマグカップが制作できるのは、撥水絵付の強みといえるでしょう。
まとめ
撥水絵付の方法や特徴についてご紹介しました。あまり知られてない手法ですが、個性的なオリジナルデザインを表現するのにはうってつけの方法といえるでしょう。
1つ1つの陶器の個性を大切にしたい方や、オリジナリティと温かみのあるオリジナルマグカップを制作したいという方におすすめです。
弊社では、この撥水絵付での印刷にも対応しております。よりお客さまのイメージに近いものが出来るよう、デザインや配色などにもアドバイスさせていただきます。
さらにマグカップの形状も1からオーダーメイドが可能。弊社では土から陶器を成型しているので、あらゆる形状の陶器でオリジナルグッズを制作することが出来ます。
お好きな形の陶器に、自分だけのオリジナルデザイン。カラーも豊富に展開しておりますので、お気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
近頃、誰でも簡単にオリジナルのマグカップがデザイン出来るようになってきました。
しかしオリジナルマグカップの注文サイトなどを見てみると、作れるのは白い色のマグカップがほとんどです。
白地にロゴなどを付けるのもお洒落ですが、せっかくオリジナルマグカップを作るなら、下地となる色の選択肢も多い方がいいです。
グリーンや紺、オレンジなど、マグカップそのものの色を選べれば、よりデザインの幅も広がります。
とりわけ、黒をベースとしたオリジナルマグカップを制作できる企業は少ない傾向にあります。これは何故なのでしょうか。
そこで今回は、黒いオリジナルマグカップの制作方法についてご紹介します。基本となる印刷方法から、黒だからこそ必要な制作過程まで、一般的にはあまり知られていない制作の事情を徹底解説していきます。
黒いマグカップでオリジナルのマグカップを作る方法
転写絵付とは?
黒いマグカップにオリジナルデザインを施す場合、通常は転写絵付という方法でロゴや柄を印刷します。
では転写絵付とはどのような印刷方法なのか、その手順から見ていきましょう。
①無地の黒いマグカップを焼き上げる
②柄に対応した版を作成する
③②の版を用い、色ごとに転写紙に柄を刷る(シルク印刷という手法)
④焼き上げた無地のマグカップに、③の転写紙を貼り付ける
⑤800℃の絵付窯で数時間焼き上げ、転写紙の柄をマグカップに焼き付ける
⑥完成!(印刷面は平面に仕上がる)
転写絵付はこのような手順で行われます。
大きな特徴は「版」が必要であるという点。1つのマグカップを制作するにしても、印刷には必ず版の制作が必要となります。
こうした手間を必要とする反面、版さえ作ればあらゆる陶器の形・カラーに対応出来るのが転写絵付の魅力です。
また転写絵付による印刷は、耐久性・耐熱性にすぐれています。転写絵付では、高温で転写紙を焼き付けます。
その結果陶器と印刷はぴったりと密着し、剥がれたり色落ちしたりすることはまずありません。食器洗浄機に入れ洗っても問題ないでしょう。
また焼き上げ時の温度は約800℃。そのため転写絵付で印刷したマグカップは、200℃〜300℃の家庭用オーブンに入れても何ら問題ありません。
このように転写絵付はあらゆる色、形の陶器に印刷ができるだけでなく、耐久性にも優れた印刷方法なのです。
黒いマグカップに昇華プリントすると?
実は、陶器への印刷方法は転写絵付だけではありません。近年普及している「昇華プリント」という印刷方法もあります。
しかし、昇華プリントは黒いマグカップに印刷が出来ません。
黒いマグカップに昇華プリントを施すと、柄が下の黒と同化して何も見えない状態になってしまいます。
これは何故でしょうか。その理由についてご説明します。まず昇華プリントの印刷手順を見ていきましょう。
①無地のマグカップを焼き上げる
②焼き上げた無地のマグカップの表面にポリエステルを塗布する
③昇華プリンターを使用し、転写紙に昇華インクを反転印刷する
④表面のポリエステルに押し当てるように②の転写紙を重ねる
⑤加熱・加圧する
⑥完成!(印刷面は平面に仕上がる)
昇華プリントと先ほどご紹介した転写絵付との違いは、大きく2つあります。
1つは「版の有無」です。昇華プリントの場合は版を使いません。その代わりに転写紙への印刷を、昇華プリンターという機械で行います。
これが黒いマグカップに印刷が出来ない直接的な理由です。例えば家庭用プリンターで黒い紙に写真を印刷したらどうなるでしょうか。おそらく背景と写真が同化してしまい、何も見えない状態になるでしょう。
昇華プリントも同じ理由で、黒いマグカップにくっきりと印刷することが出来ません。印刷出来ないというよりは、「印刷は出来るものの、下地の黒に柄が同化してしまう」という状態です。これでは印刷の意味がありませんね。
黒い色の上でもしっかりと柄の色を出せるのは、転写絵付ならではの魅力といえます。
もう1つは昇華プリントの場合、表面に「ポリエステル」を塗布しているという点です。転写絵付では陶器そのものに印刷を施します。
元々昇華プリントは繊維業界で誕生した印刷方法で、ポリエステルにしか印刷出来ないという特徴があります。そのため陶器の表面にポリエステルを塗布し、そこへインクを染みこませます。
現在、業務用として流通しているポリエステルを施した昇華プリント用のマグカップは、外側は白いものばかり。つまりそもそも市場に黒地にポリエステルを施したマグカップ自体が、流通していないのです。それもそのはず、黒地に昇華プリントしても何も見えないのですから。
そしてポリエステル加工をしてあるマグカップは、形も一般的な寸胴型なものが大半。その理由は熱圧着する昇華プリントの機械が寸胴型にしか対応していないものがほとんどだからです。そのため昇華プリントによる印刷は、元となる陶器の色や形が、白・寸胴型に制限されてしまうという特徴があるのです。
転写絵付のデザイン再現度は?
転写絵付では、印刷された色が下地となる釉薬の色をしっかりと遮断することが出来ます。そのため黒い陶器に印刷を施しても、釉薬の色に影響されずにしっかり発色させることが可能です。
また印刷における滲みなどもほとんどなく、昇華プリントよりも緻密にデザインを再現することが出来ます。
ブルー地のマグカップですが画像の通り、転写絵付を施したマグカップ(右)の方は柄が鮮明です。昇華プリントを施したマグカップ(左)は少々文字の輪郭がぼやけています。
さらに転写絵付なら、陶器のどの箇所でも印刷可能。マグカップの外側はもちろん、内側や底面でも印刷出来るのです。
転写絵付は個性的なオリジナルデザインの印刷にも柔軟に対応できます。
黒のマグカップに綺麗に印刷するためには
転写絵付はデザインの再現度が高いとはいえ、場合によっては柄と背景の境界が分かりにくくなってしまうこともあります。例えば黒い陶器に、茶色の柄を印刷するときなど。
そんな時には、「下白(したしろ)」や「二度刷り(にどずり)」という方法を用います。
下白は印刷をする柄と陶器本体の間に、白い色の版を1版敷くという方法です。これにより柄の部分だけ黒地の黒を遮断し、柄の色を引き立たせることが出来ます。
また二度刷りは、柄の発色をより上げるために絵具の顔料の層を厚くするという方法です。同じ版で2回刷ることで顔料の厚みが2倍となり、下地の黒がより一層遮断され、柄が際立ちます。
このような方法を利用すれば、黒に負けてしまいがちなカラーリングでも綺麗にクッキリと印刷することが出来ます。
黒い食器や陶器は作れる制作会社が少ない
黒い食器や陶器を作るには、転写絵付を用いる必要があります。
しかし陶磁器業界に伝わる転写絵付には職人の技、そして色ごとに版を1つ1つ制作するコストがかかります。さらに転写絵付で印刷をしたとしても、先ほどご紹介した下白や二度刷りといった工夫を加える必要がある場合もあります。
このような理由から黒い食器や陶器を作れる制作会社は、陶磁器専門のメーカーに限られ比較的少ない傾向にあるのです。
黒いマグカップをオススメする理由
背景が黒いと細かいデザイン、白が映える
制作が難しいとされる黒のマグカップですが、実はあらゆるメリットがあります。その1つが「印刷が映える」というもの。
黒いマグカップの印刷には、転写絵付を用います。この手法なら、かなり細かい柄やイラストを印刷可能です。
細かい柄もにじんだり、ぼやけたりすることなく、くっきりと印刷できます。さらに黒い背景がより一層、柄を映えさせるでしょう。
柄の見やすさという観点でも、黒を背景にするのは有効といえます。
特に白い文字や柄を印刷する場合、黒い背景は引き立て役として最適です。白抜きのロゴはあらゆる企業ブランドでもロゴとして採用されています。
例えばファッションブランドの「GAP」、さらには飲料メーカー「コカ・コーラ」など、いずれも文字は白色です。
このように白い印刷をグッと際立たせるのに、黒い背景は一役買ってくれます。
物販イベントやECサイトでの販売で売れる!?
物販イベントやECサイトでオリジナルマグカップの販売を考えている方もいるでしょう。そんな方にとって、黒いマグカップは非常におすすめです。
マグカップはオリジナルグッズの中でも、非常にポピュラーなアイテムといえます。アイテム自体もそこまで大きくなく、価格もTシャツなどといったオリジナルアイテムと比べればリーズナブルです。また自宅用・ギフト用・またはインテリアとして使うなど、あらゆる使い方が出来ます。
さらに黒という色はどんな柄でも、シックでお洒落にまとめあげてくれるというメリットがあります。
また黒は日常生活に溶け込みやすいカラーです。あらゆるインテリアや生活空間になじみます。黒はピンクや青と異なり、イメージで使用者が限定されません。男性や女性、年齢などの分け隔てなく、誰でも違和感なく使うことが出来るカラーです。
そのため黒いマグカップは、誰でも手に取りやすい商品といえるでしょう。売ることを考えるなら幅広い顧客を想定して、誰もが使いやすいものを制作するのが一番です。
こうした販売の観点で見ても、黒いマグカップは非常に優秀なアイテムといえます。
カフェ用のマグカップやOEMの記念品などでのブランドデザイン
カフェや飲食店などでは、お店のロゴをワンポイントで入れることも少なくありません。
黒は落ち着きや信頼感を持たせてくれる色です。白と黒、赤と黒、ピンクと黒、どんな色のロゴと合わせても、落ち着いて見える配色になるでしょう。
すでにロゴのカラーが決まっていたとしても、マッチさせやすいカラーといえます。もしくは白抜きでロゴや店名を入れるだけでも、モノトーンでお洒落なマグカップに仕上がるのが黒のメリットです。
またOEMのグッズなどを制作する場面にもおすすめです。記念の年やロゴをワンポイント入れるだけで、黒がデザインを引き締めてくれます。
さらに黒には高級感を演出できるというメリットも。そのため自社ブランドに高級感や荘厳な印象を持たせたい場合も、黒をベースとしたカラーリングは効果的です。
まとめて発注することでお値段がリーズナブルに
実は転写絵付には、「発注する商品の数が多ければ多いほどお得になる」というメリットがあります。これは黒いマグカップに限らず、転写絵付で印刷された陶器全般にいえることです。
というのも、転写絵付けには「版」の制作が必須となります。1つのデザインカラーにつき1つの版。版の制作は固定費として、発注数の有無に関わらず発生するものです。
裏を返せば、1つの版を何度も使って印刷を量産することが出来ます。
つまり多く発注する程、1つの商品にかかる費用が安くなります。これは版の制作における固定費を大きい母数で割るほど、1点あたりの費用を抑えられるからです。
10点より100点、100点より1,000点の方がお得になるというわけです。
一方、昇華プリントはどうでしょうか。昇華プリントは版を用いず、昇華プリンターで印刷します。この手間は、何回印刷しても変わりません。
価格が発注個数に比例してお得になるのは、転写絵付による印刷ならではのメリットといえます。
黒いマグカップのまとめ
黒いマグカップの制作方法をご紹介しました。黒いマグカップを作るには、転写絵付という印刷方法を用い、場合に応じて印刷を引き立てるための工夫を施します。
さらに黒いマグカップには、デザイン性の高さなどといった魅力がたくさん。グッズ化するにも適したカラーであることがお分かりいただけたかと思います。
弊社ではそんな黒いマグカップをはじめ、あらゆるカラーの陶器制作に対応しています。
また色だけでなく形や印刷の箇所など、様々なこだわりに対応いたします。
土から成型し、カラーリングまでとことんこだわってイチから作るオリジナルの食器は、きっとこだわりのグッズ制作に貢献できると思います。お気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
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私たちの生活、そして食事に欠かすことのできない「陶器」。
マグカップやプレートなど、あらゆるシーンで私たちは陶器を使用します。
そんな身近な存在である陶器ですが、食の安全という点においてはその制作に非常に厳しい基準が設けられているのが特徴です。
食器として利用する陶器には、盛り付けた料理や中に入れた飲み物を口にしても問題ないレベルの高い安全性が求められます。そのため一般にはあまり知られていませんが、陶器には食べ物と同様の「食品衛生法」が適用されています。
このように、陶器の制作には細心の注意が必要といえます。私たちが普段から何気なく使う陶器の安全性は、こうした影ながらの努力によって保証されているのです。
そこで今回は、「安心・安全な陶器を作るためのポイント」について詳しくご紹介していきます。
食の安全にもこだわったオリジナルのマグカップやプレートを作る方法
陶器にはあらゆる色や形状のものがあります。コーヒーを入れるマグカップや、スイーツを乗せるプレート。食べ物や飲み物を入れる陶器であれば、これら全てに安全性が求められます。
では安全な陶器を作るには、どういった注意が必要なのでしょうか。安全性の高い陶器づくりのポイントをご説明していきます。
安全にこだわった印刷とは?
まず、「安全にこだわった印刷」とはどのようなものなのでしょうか。
前提として陶器は食べ物をよそい、口をつける可能性のあるものです。そのため陶器には食品と同等の安全性が求められます。
陶器の原材料は粉砕した石や粘土で、健康を害するリスクはありません。しかし本体に色をつけたり、絵付けを行う過程で、無機顔料を使用します。
陶器の制作において最も気を付けるべき成分は、無機顔料に含まれる「鉛(なまり)」、そして「カドミウム」という成分です。
鉛やカドミウムは陶器に必ず含まれているわけではなく、ビビッドで鮮やかなカラーを出したい時などにしばしば使用されます。
いずれも一定量を摂取すると、鉛は鉛中毒、カドミウムは腎臓疾患や関節障害・貧血などといった健康被害を発生する恐れがあるのです。
ちなみにこれらの成分が、陶器に含有されていること自体を、食品衛生法自体で問題視している訳ではありません。使用しているうちに鉛やカドミウムが溶け出し、それを食品と共に摂取してしまうリスクが問題とされています。
つまり安全な陶器とは、鉛とカドミウムの「溶出量」が安全なレベルに収まっているもののことを指します。また安全値に収めるだけでなく、健康に全く影響がないレベルまで溶出量を抑えることが、安全へのこだわりといえます。
鉛・カドミウムの基準値は法律で定められている
人体にとって有害な鉛とカドミウム。
陶器におけるこれらの溶出量は、国の規定した基準値の範囲内に収める必要があります。この、国の規定した基準値が示されている法律こそが「食品衛生法」です。
食品衛生法は、食品だけでなく「飲食にまつわる全てのリスク」を回避するために作られたもの。そのため、食品に対してだけでなく食器や容器、おもちゃにまで成分規定を設けています。
陶器の場合は健康被害が懸念される成分として、鉛とカドミウムの溶出量を検査することが義務付けられているのです。
形状によっても異なる基準値
陶器の形状や大きさは様々です。そのため食品衛生法では、陶器の形状に応じてそれぞれ鉛とカドミウムの基準値を設けています。
溶出量を検査するにあたり、陶器は大きく4種類の区分に分かれます。
陶器の区分と、基準値は以下の表の通りです。
陶器は深さと容量によって基準値が分かれています。例えば深さがほとんどなく平らなお皿の場合は、区分Ⅰに分類されます。
一方、深さが2.5cm以上あり容量が1.1ℓ未満のマグカップなどは区分Ⅱです。このように、形状や容量に応じて鉛とカドミウムの基準値が異なります。
安全性を検査する「食品衛生検査」
日本の食品衛生法は、非常に厳しい基準で作られています。その基準の高さは食品衛生法に基づく検査、「食品衛生検査」を見れば分かります。
陶器に含まれる鉛やカドミウムは、酸性の成分に触れると溶け出す傾向があります。つまりお酢などの成分に反応して溶け出すのです。
陶器の食品衛生検査では、まず陶器の中に酢酸を満たします。そして常温で放置すること24時間。その後、陶器の中に溶け出した鉛とカドミウムの量を測定します。
このように食品衛生検査では、最も多くの鉛とカドミウムが溶出する条件下で検査を行うのが特徴です。
実際に陶器を使う上でただパンを乗せたり、コーヒーを注いたりするだけなら鉛とカドミウムはほとんど溶出しません。そのためほとんどの使用条件下において、溶出する鉛とカドミウムは食品衛生検査の結果よりも少ない数値になると考えられます。
食品衛生検査では念には念を入れて、厳しい品質基準を設けているのです。
安全なオリジナルの陶器を制作するために
レストランやカフェなどといった飲食店では、オリジナルの陶器を作って使用するということも珍しくありません。オリジナル陶器はお店の雰囲気やイメージ作り大きな役割を果たしてくれます。しかしオリジナル陶器の制作には、安全性に十分留意して制作する必要があります。
当然、食品衛生法の基準上、問題の無い品質に仕上げるためにはあらかじめ食品衛生検査を行います。ではどのような陶器で、どれだけの鉛やカドミウムが検出されるのでしょうか。
ここからは検査の一例と、より安全な陶器を制作するための方法についてご紹介していきます。
マグカップやプレート本体の色は問題ない
基本的に陶器を制作する上で注意すべき点は本体のカラーでなく、転写された絵柄の部分です。
とはいえ、本体に塗られる釉薬という材料にも、カドミウムや鉛は含まれている場合があります。しかし国産で、かつ最適な温度で焼き上げられた陶器であれば、本体から基準値以上の鉛やカドミウムが検出されることはほぼありません。
釉薬を塗った状態の陶器は、「本焼き」という工程に入ります。陶器を焼き上げる温度は1,200℃以上の高温です。その際、熱で溶けて液状化したガラス成分の中にカドミウムや鉛が溶け混みます。
そして冷えればガラス成分は固まり、鉛やカドミウムを外側からカバーしてくれるのです。そのため高温で焼き上げ、なおかつ釉薬に適した調合が出来てさえいれば、鉛やカドミウムの溶出はほとんどないといえます。
赤や黄色といったプリントカラーの時は注意が必要
一方、赤や黄色など鮮やかな色をプリントする際は注意が必要です。ちなみに黒や白、落ち着いたブルーやブラウンなどといったカラーには、ほとんど鉛やカドミウムが含まれておらず、これらが溶け出す心配はまずありません。
上絵付とよばれる工程で使われる顔料の中では、赤やオレンジ、黄色などの色にはカドミウムが含まれます。
その検証として、直径20cmのプレート全面にオレンジ色の転写絵付を施した食器(上の写真左)を検査しました。
すると食品衛生法の基準値が0.5µg/㎖未満なのに対し、なんと2.5µg/㎖ものカドミウムが検出されたのです。真っ赤な色の場合(上の写真右)は、0.17µg/㎖という結果でした。
これを見る限り鮮やかな色の装飾をする際には、細心の注意が必要であるということが分かります。当然ながら鉛とカドミウムの溶出基準値を超えた陶器は、健康被害を及ぼすリスクがあるといえます。食品をのせる食器としては、とても販売することが出来ません。
鉛・カドミウムが出やすい色でも、印刷範囲が狭ければOK
では印刷の範囲を狭めたらどうなるでしょうか。
次に白い本体にワンポイント「TOUKI」と記載したプレートで再度検査を行いました。
赤いロゴの場合(上の写真右)はカドミウムのみが0.02µg/㎖という結果に。そしてオレンジ(上の写真左)も同じく、カドミウムのみが0.14µg/㎖という結果になりました。
ちなみに食品衛生法で定められている基準値は0.5µg/㎖未満です。いずれもワンポイントのロゴであれば、基準値を超えることはありませんでした。
しかしプレートを使い込めば使い込むほど、鉛やカドミウムが少しずつ溶け出すリスクがあります。小さなロゴの印刷で食品衛生法の溶出基準値を満たしていても、こうしたリスクはゼロではありません。
万が一基準値を越えてしまいそうな時には「フラッキス」を使用
赤やオレンジなどといったカラーは鉛やカドミウムの含有量が高く、食品衛生法の基準値にも触れやすいことが分かりました。
では安全な陶器を作るためには、赤やオレンジは使えないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
実は赤やオレンジを安全に使用できる方法があります。それは「フラッキス」を利用する、というものです。フラッキスはほぼ100%の成分をガラスが占めている、いわばコーティング剤です。
このフラッキスを製造過程の最後に施すことにより、鉛やカドミウムが溶け出すのを防いでくれます。釉薬から有害物質が検出されないのと同じ原理で、鉛やカドミウムをガラスの中に閉じ込めるのです。
ちなみにガラスの細かい粉のことを「フリット」と呼び、フラッキスはフリットを用いたコーティング剤のことを指します。フラッキスで陶器をコーティングすると、耐酸効果が得られます。酸で溶け出しやすい鉛やカドミウムが溶出するのを抑える効果があるのです。
実際に、このフラッキスの効果を検証しました。
使用したのは先ほどの検証で食品衛生法の基準値を大きく上回った、全面にオレンジの塗料を塗ったプレート。
このお皿にフラッキスを塗り、再度検査にかけました。すると2.5µg/㎖もあったカドミウムの検出量が、0.18µg/㎖まで抑えられたのです。大幅な数値ダウンといえます。
食品衛生法での基準値は0.5µg/㎖未満。つまり基準値内に数値を収めることが出来ました。
また、0.02µg/㎖のカドミウムが検出されていた赤いロゴ入りのプレートにフラッキスを施しました。するとなんと、カドミウムは検出されなかったのです。
これはつまり微量の成分であれば、フラッキスの耐酸効果により0µg/㎖にすることが出来ることを示しています。
このフラッキスを利用すれば、色を制限されることなくオリジナルの陶器を作ることが可能だということが検証できました。
まとめ
陶器の安全性についてご紹介しました。
意外と知られていませんが、陶器の制作には食品衛生法という高い基準が設けられています。ファーストスティングではそれをクリアするだけでなく、より安全で長く使える陶器の制作を目指しています。
例えば今回ご紹介した「フラッキスによる耐酸」という方法で陶器をコーティングすれば、より高い安全性が実現出来るでしょう。
発色の良さも損なわずに安全性にもこだわった、弊社ならではの陶器です。長く、そして安心して使える陶器をご提供させていただきます。
ファーストスティングではご希望があれば、食品衛生法の基準を満たしている旨の、公的な書類の発行も可能です。制作いただく商品で検査を行い、検査結果をご用意させていただきます。
豊富なカラーや形状をご用意しておりますので、様々なこだわりに対応いたします。お気軽にご相談、お問い合わせください。
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【インタビュー】ロースイーツにこだわる自然派カフェがオリジナルマグカップを選んだ理由
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
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兵庫県尼崎市。JR立花駅南側近くに佇む「Cafe Holo i Mua(カフェ ホロイ ムア)」。
ハワイ語で「前を向いて歩いていく」という意味のこのお店は、自然食メニューをはじめ、火を使わないロースイーツや、玄米コーヒーなどの珍しいメニューをおしゃれな空間で愉しめるとして人気のカフェです。
1人でお店を切り盛りし、お店の備品などの調達も全て自分自身で見て決めるほどのこだわりを持つ店主の長尾氏。
2019年7月のお店のオープンに合わせて、形状にこだわりつつもロゴ入りのオリジナルマグカップ制作ができるところを探していたそうです。そこで今回、ファーストスティングプレミアでイチからオリジナルでマグカップを依頼いただきました。
既製品ではない自社製造のマグカップの形や耐久性を気に入っていただけ、直接お店へ足を運び、詳しいお話を伺うことができました。
お店やロースイーツをはじめとしたこだわりのメニューのお話をはじめ、オリジナルマグカップを制作した際のお話など盛りだくさんのインタビューをご紹介します。
ロースイーツの人気カフェ「Cafe Holo i Mua」を開店した理由
店舗前には店名の入ったバス停を模した看板兼オブジェがあり、可愛らしい店構えに思わず頬がゆるみます。
ナチュラルかつシンプルな内装でありながら、洗練された雰囲気の明るい店内に店主のこだわりを感じます。
開店したきっかけを教えてください
ー長尾氏
2019年の7月1日に開店したのですが、昔から和テイストというか、そういうカフェ巡りをしていて..。カフェが好きで、おじいちゃんになってからでも良かったのですけど、ずっとそういうお店がしたかったっていうのがありました。
このお店の前に、薬膳カフェで働いていましたが、そこでも低アレルゲンのケーキを作っていたんです。小麦、乳製品、砂糖を使っていない、アレルゲン不使用のケーキなのですが、そこのお店には畳の席があって、小さいお子さんが結構来店してしました。
その中にアレルギーのあるお子さんも沢山いて、そういう子のお母さんにすごく喜んでもらっていたのが印象的でした。みんな「こんなんあるの知らんかった」とか言うので、じゃあそれならもっと知ってもらいたいなと。これがあって、お店を立ち上げたようなものです。
「Cafe Holo i Mua」という店名は、最初から決めていたのでしょうか?
ー長尾氏
最初から決めていたのは、ハワイ語という点ですね。
ハワイ語で調べていたら、おしゃれな言葉が、がーっと出てきて。その中で、語呂が良くてお客さんに聞かれても答えが返せるような、意味のあるものにしようと思って「Holo i Mua(ホロイムア)」にしました。
「前を向いて歩いていく」という意味で、本当にそういうカフェにしたいなと思っていまして、ずっとゆっくりして欲しい、1日中いても出ていけとは言わないようなカフェにしようと思って名付けました。
自然派メニューをはじめ、カフェのこだわりポイント
ロースイーツや自然食のメニューが多く魅力的ですね。ロースイーツとはどんなものなのでしょうか?
ー長尾氏
東京では、メジャーな言葉みたいです。ローフードというのがアメリカにあって、アメリカから東京のほうに来たらしいんですけど、そこが今熱いのかな。ちょっとずつ全国に今流れていっているみたいなんですけど、でもまだ知らん人のほうが圧倒的に多いと思います。
ロースイーツの“ロー(raw)”っていうのは、生のことで、火を使っていないんです。調理工程にまず熱を加えていないのと、それに使う食材、素材にも熱は通していないんです。全部生。
ロースイーツでは乳製品を使わずにどのように甘さや味などを表現しているのですか?
ー長尾氏
絶対入れてるのが、カシューナッツとココナッツオイルです。ココナッツオイルが、普通の油よりも固まりやすいんです。それで形がつくられる。だから、冬になるとそのへんにココナッツオイルを出しておけば絶対固まる。その2種類がベースになります。
甘みは、アガベシロップです。テキーラの原料にもなっているリュウゼツランという蘭から低温で抽出したもので、それもGI値が低いというので有名な、言うたら健康的な甘味料なんです。
下は生のナッツ。それだけ火は通してます。ナッツに火は通してるんですけど、上のアイスがピスタチオのアイスと、ラズベリーとイチゴのアイスです。その上にカシュークリームというカシューナッツとココナッツオイルをミキサーにかけたもの。それを生クリームっぽくしているんですけど。その上にフルーツです。
長尾さんのそばにいたら健康数値が上がりそうですね。
ー長尾氏
健康数値、上がると思います…
オリジナルマグカップ制作を選んだ理由
今回はオリジナルマグカップ制作のご依頼ありがとうございます。ロゴがとても印象的でおしゃれですね。
ー長尾氏
こちらこそ、ありがとうございます。
ロゴ、いいですよね。チラシとかもそうなのですが、前に働いていたところで、学生の子がいて、その子に全部作ってもらっているんです。全然そういう学校にも行っていない、普通の学生です。今もう新卒で就職しましたけど。ここのデザイン担当です。
オリジナルで制作したマグカップ以外の什器、備品はどうやって調達されたのですか?
ー長尾氏
雑貨屋めぐりです。いろんな雑貨屋さんに行きました。とりあえず自分で見たくて。
弊社のオリジナルマグカップを選んでいただいたきっかけを教えて下さい。
ー長尾氏
きっかけは大阪ミナミにあるコーヒーショップのマグカップです。普通に売ってはるんです、カウンターのところで。
マグカップってまっすぐのストーンとした形が多いんですけど、ちょっと上に向かって広がってる。それがすごいおしゃれというか。この形すごいいいなと思って。で、ネットで探したんです。『オリジナルマグカップ』みたいな。そうしたら貴社(ファーストスティング)のサイトで見つけたんです。それでこれやと。
オシャレな形状なのにリーズナブルですよね。ロゴ制作を入れて安価だったので、もっと色々作ってほしいなと思いました。
しかも割れないんです、これ。もう何回落としたことか。全然割れないし、欠けないし、すごい丈夫ですよね。
割れない・欠けないというのは、実店舗で使っていただいている方からのお声としてとても嬉しいです。
ロースイーツにこだわるお店、今後の試みは…
定休日は決められていないんですね。
ー長尾氏
定休日は不定休にしてます。僕が前の仕事で、曜日固定で休みを取ってたんですが、そうなると、行きたいお店が同じ休みの日やったらどんなに行きたいカフェでも、絶対そこに行けないんです。
なので、これからもずっと不定休でいこうかなと思っています。
色んなお客様が来れるようにという配慮でもあるのですね。見たところ女性のお客さんが多いですか?
ー長尾氏
女性が圧倒的に多いです。年配の方も本当に多いです。この前85歳の方にちゃんと階段を昇って来ていただきました。
昔から住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんが多い街で、だから喫茶店もすごい多いです。純喫茶みたいな。それで、お店を決めるときに不動産屋さんにもすごい難しいって言われました。「カフェじゃないよ、立花は。」って。でも言われると面白いですよね。じゃあやってみようよとなりました。
これからの3年後、5年後、どんな試みを考えていますか?
ー長尾氏
3年後、5年後は、たぶんロースイーツで何か絶対出していると思います。
あともう1つ。このお店とは別に、ロースイーツとドリンクだけくらいのお店を出していると思います。
言うたらそっちがメインなので、そっちでどんどんいきたいですね。いずれは、全国のアレルギー持ちのお子さんに届けられるロースイーツケーキの移動販売なんかもしたいです。
あとは、地元が塚口なので、塚口やミナミのほうにもお店を出してみたいですね。
ロングインタビューありがとうございました。
インタビューを終えて まとめ
今回制作されたオリジナルマグカップ、シンプルなマグカップに淹れられた穀物コーヒーと玄米コーヒーの良い香りが漂います。ラテアート映えも抜群。
肉厚なアメリカンクラシック風の形状に、お店のロゴをプリント。おしゃれなお店の内装と自然派メニューによく似合う、ナチュラルでありながらも洗練されたデザインに仕上がりました。
人気のホロイムア定食はヘルシー思考の女性のみならず、栄養が偏りがちな男性にもおすすめしたい美味しさ。
ロースイーツも試食させていただけることに。美味しさはもちろん、乳製品などを使っていないにも関わらず、芳醇な甘さに驚きです。
アレルギーなどで食べられない・飲めない人でも色んな食事や飲み物を楽しんで欲しいという想いの下に、日々奮闘する長尾さん。そんなこだわりのお店のマグカップ制作に協力することができて、本当に嬉しく思いました。
今回ご紹介した「Cafe Holo i Mua」さんのロゴ入りマグカップをはじめ、オリジナルのマグカップ制作ついて何でもお気軽にご相談ください。デザイン・サイズ・カラーなど、完全オリジナルの食器を作ることが可能です。また、好きな場所にロゴを入れたり、イメージカラーに合わせてオリジナルのカラーリングをしたり、エンボス調のプリントをしたりなど、既製品にはできないこだわりの陶器制作ができます。
土から成型し、カラーリングまでとことんこだわってイチから作るオリジナルの食器は、きっとこだわりのお店づくりに必要なアイテムです。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
【インタビュー】世界中のコーヒー豆を自家焙煎する本格派ロースタリーカフェが、オリジナルマグカップを選んだ理由
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
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大阪市に3店舗を展開する「SANWA COFFEE WORKS (サンワコーヒーワークス)」 。
豆の仕入れから焙煎まで全て自分たちで行い、こだわりのコーヒーを提供する人気のコーヒー専門店です。
大阪の下町情緒溢れる池田町に佇むSANWA COFFEE WORKS本店では、常連さんにゆっくりとコーヒーを愉しんでもらいたいという想いで、市販されている通常のマグカップよりも大きいサイズのものを用意したいと考えていたそうです。
2019年10月の本店のリニューアルオープンに合わせて、マグカップやカップ&ソーサーをファーストスティングでオリジナル制作していただきました。
そこで今回、こだわりのオリジナルマグカップ制作についてお話を伺えることになり、いざ大阪へ。
インタビューに応じていただいたオーナーの西川隆士さんは、2019年ジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップで4位に輝いた腕前の持ち主。大会のことなども交え、コーヒー愛いっぱいの話を聞くことができました。
本店をリニューアルオープンしたきっかけ
リニューアルオープンをしようと決めたのは、いつですか?
ー西川氏
ここの建物は大家さんが別に持っている建物なので、改装自体は大家さんが建替えというのを決めはったんですけど、僕らがここを入居するタイミングのときに、「いずれ建て替える可能性があります。」ということは言われてて「5年後くらいですかね。」と言われていたんです。
それが実は7年前くらいなんですけど。リニューアルというのはそのときから意識してましたね。
リニューアルの決断をしたときの心境はどのような想いでしたか?
ー西川氏
5年後の建替えのタイミングで、僕たちも少しずつ力をつけてじゃないですけど、建替えのタイミングで大きくさせていただきたいなという気持ちはその時からずっとありまして、大家さんから声をかけていただいたので、そのタイミングで、頑張ってみようと思いました。
今回建替えのお話をいただいて、せっかくなので大家さんに「一棟貸してください。」と言って。全部上も下もお借りして、丸ごと SANWA COFFEE WORKSとしてやらせていただきたいとお伝えしました。
リニューアルオープンするこの新しいお店で、ここだけはこだわりたいとか、アピールしたい点などはありましたか?
ー西川氏
全てこだわったんですが「特にここ!」と言うなら焙煎室ですね。
僕らはコーヒーショップで、その中でも自家焙煎という、コーヒー豆を海外から買ってきて、たくさんの種類を扱っているお店なので、職人気質とまではいかないまでも、押し付けがましくしない程度に焙煎機が使われるようなお店づくりはしたいなと思っていました。
そのために、店舗の外から見たときに「上に焙煎室があるな」ってわかるように、焙煎機をはじめとした機械が外から見えるようにしました。
豆を焼いているときは上でロースターをいじったりしているのがちょっと見えたりするんですけど、そういうのが見えるような店づくりにしたいなというのは思っていました。
ロースターの大会とは
ちょうど焙煎のお話しが出ましたが、ロースターの大会で4位入賞、おめでとうございます。ロースターの大会というのは、どう開催されて、どういうステップで進んでいくのでしょうか?
ー西川氏
ややこしいんですけど、まず全国の予選みたいなのがありまして。
その出場の条件を満たすのが、焙煎の業務歴というのが2年以上であったり、ちゃんとした大きな焙煎機を使っているというのが条件やったりするんです。
国内予選みたいなのがあって、全国から集まった焙煎士の方々全員に同じ豆が配られるんです。同じ焙煎機を使って、誰がおいしく焼けるかというので。その予選の上位6名が決勝に進出できるんですけど、それに僕を選んでいただいたという。
その次に、全国大会で、2泊3日というちょっと長い大会になるんですけど、渡された豆の品評から、本番で使う焙煎機の特徴をその日に掴んだりして、焙煎計画を立てて、その日に焼くという感じです。
そして、その翌日に順位が決まります。
オリジナルマグカップの制作秘話
弊社でオリジナルマグカップを制作していただいてありがとうございます。
ー西川氏
いえいえ、イチからこういうロゴ入りマグカップをつくれるというのは僕らもありがたいことです。
今回のようにオリジナルマグカップを作る前までの食器選びはどのようにされていましたか?
ー西川氏
ロゴを入れないときは既製の商品の中で、自分たちの使いやすいものであったりとかですね。
海外メーカーさんとかでも有名なものがたくさんありますので、そういうところから選ばせてもらったり、使いやすさであったり。
僕らはコーヒーショップなので、有名なものとかをメインに使ってみたいなというのはありました。
弊社のマグカップは、この本店のリニューアルの前にLUCUA1100店で最初に使っていただきました。その際には、どのような決め手があったのでしょうか?
ー西川氏
そうですね。今までの本店は(改装前)こじんまりしたお店だったので、 LUCUA1100店の店長と打ち合わせしていた当初は、せっかくLUCUAさんで出すなら、いろいろな器を使ってみたいなというのもありました。
色々な器を置いて、「これは海外のカップなんですよ。」なんて紹介したりできるのもありかなと思ったんですけど、せっかくLUCUAさんに出店させていただくので、やっぱりロゴが入っていて、お店のイメージをしっかり伝えていきたいなというところで、オリジナルの食器作りを検討することにしたんです。
そこで、色々とオリジナルマグカップを作ってくれる会社を調べていて、貴社のサイトを見つけてお願いすることに決めました。作れる形も様々あったりとこだわって作れそうだったので、せっかくやったらここにお願いしようとお願いしました。
マグカップ作りまでこだわるコーヒーショップ、今後の展開は・・・
SANWA COFFEE WORKSさんは、今後どんなお店を目指していますか?
ー西川氏
僕は3代目になるんですが、初代である僕のおじいちゃんが始めた天満市場店があって。その小さいお店が元々の発祥というか…。そのお店が、1959年スタートなので、今年で創業60年になるんです。(*取材時2019年)
そこが、本当に地元に根付いたお店になっていて、50年来てくれてはるお客さんもいるんですね。
その方々が、こっちのリニューアルオープンの時にも来ていただいたんですけど、ほんまに長く天満に根付いているお店なので、そういう地域に根付いたコーヒーショップを、少しずつでも、自分らの力がある限り増やせたらと思っています。今回梅田に出させていただいたりとか、次またお声がけいただいている場所もあったりするので。
働くスタッフさんへのインタビュー
働いたきっかけをお聞かせください。
ー女性スタッフ
コーヒーの美味しさに目覚め、募集が締め切られた求人を諦め切れず、直接店舗へ足を運び「ここで働きたいです」とオーナーに直談判しました。情熱と努力で未経験でしたが、ラテアートも身につけ、コーヒーとお店への愛に溢れた日々を過ごしています。
今では本店の近くに住み、子育てに奮闘しながらもカフェのスタッフとして馴染んでいますが、2年前までは実は紅茶派でした…。
皆さんロングインタビューお時間いただきありがとうございました。
まとめ、インタビューを終えて
取材中も店内には焙煎直後の香ばしい豆の香りが漂っていて、心がほっと安らぐ素敵な空間でした。
こだわりのコーヒーと、オリジナルのマグカップ。コーヒーに情熱を注ぐオーナー・スタッフが提供する極上の一杯で、癒しのひとときを過ごすことができるでしょう。我々も、夢に向かう飲食店の食器制作に寄り添い、ものづくりに貢献していきたいと改めて想うことができました。
市販にはない大きさのオリジナルマグカップを制作、こだわりの食器選びについて
LUCUA1100に新規出店した際に、ファースト・スティングのアメリカンマグカップでイチからオリジナルのマグカップを制作したSANWA COFFEE WORKS。
制作時にも何度も打ち合わせを重ね、食器への並々ならぬこだわりを見せていました。
ちなみに、制作したアメリカンマグカップはカフェからいただく注文では一番人気の形状です。
今回の本店リニューアルでは、このアメリカンマグカップよりさらに大きなサイズのマグカップを用意したいと西川さんは考えていたそうです。本店では常連の方がゆっくりとくつろぐことが多く『大きなサイズのマグカップ』という点を、こだわりたいポイントの1つとしていました。
このような大きなサイズはファースト・スティング・プレミアが手がける数々のマグカップにもない大きさで、イチから型を作り制作しています。
通常よりも大きいサイズながらも、LUCUA1100店で使っていたオリジナルマグカップのシルエットを崩すことなく、SANWA COFFEE WORKSのマグカップというイメージをそのまま引き継いだ今回のデザイン。
もちろん、本体カラーも従来のサイズのものと全く同じ仕様で、一貫したコンセプトを演出することができました。
今回のようにこだわりぬいて完成したマグカップ。弊社ではデザイン・サイズ・カラーなど、完全オリジナルのマグカップ制作が可能です。
土から成型し、カラーリングまでとことんこだわってイチから作るオリジナルの食器は、きっとこだわりのお店づくりに貢献できると思います。お気軽にご相談、お問い合わせください。
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【本物のマグカップの作り方 ステップ4】絵付するための転写紙の制作
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転写紙について
ここでは絵付するための転写紙ができるまでをご紹介します!
データ化するためのDTP作業
お客さまからいただいたデータを、転写印刷用に編集します。
この工程で実際の絵付(印刷)がやりやすくなるようにデータを加工していきます。
シルクを製版します
乳剤を塗ります。これは後の工程のために必須の作業です。
乳剤を塗った後の版を乾燥させます。
露光して版を焼きます。
この工程を挟むことで乳剤が硬化し、版の部分だけ乳剤が固まらずインクが通るようになります。
完成した版を洗浄。これで版の準備は完了です。
インクの調合
色を再現するために様々なインクを調合します。
保管されたデータの元、すべて人の手で細やかな調合がなされています。
刷り工程
試し刷りを繰り返し、色の確認や印刷された図面の校正を行います。
ズレを防ぐためにも大事な工程です。
機械刷り
校正を重ねていよいよ本刷りへ。大量の転写紙が刷り上がります。
多色の場合は、色の数分だけこの工程を繰り返します。
手刷り
熟練の職人が一枚一枚手ですることも。機械刷りと同じような高品質な仕上りです。
完成
印刷が完了した転写紙。
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【本物のマグカップの作り方 ステップ3】釉薬を塗る
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乾燥したカップに施釉(釉薬を塗る)
まずは下準備で口元に撥水線を引きます。
今回は内側と外側で違う色のマグカップを成型するため、この工程が必須になります。
内側と外側でマグカップの色が異なる場合、まず内側部分に施釉を行います。
噴射ノズルから噴射された釉薬を、職人技で均等になるように塗り広げます。
内側に釉薬が塗られた状態のもの。ほんのり内側が色づきます。
外側の施釉は表面張力を利用し、ギリギリのラインまでマグカップに釉薬をつけます。
内側に釉薬が入り込まないよう、繊細な力加減が必要な工程です。
施釉完了。あとは焼き上げるのみ。
釉薬について
マグカップを色づける釉薬。
one hundred の100色も、この調合を経て完成しています。
いよいよ最終工程の窯焼きに入ります。窯の中の温度は約1250℃。
高温の窯の中を、1日弱という長い時間をかけて進んでいきます。
出来上がったマグカップ。たくさんの工程を経て、形となります。
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【本物のマグカップの作り方 ステップ2】成形工程、加工
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成形工程、加工
ここではマグカップが実際に成形され、形になるまでを紹介します。
土練機を用いて真空化・土を加工しやすく
「土」のコラムで紹介した完成形の土を使います。
マグカップの原型のかけらもないですが、ここからどんどん形になっていきます。
土練機に土を投入し、真空状態にします。
土練機とは、ステンレス製のドリルのようなスクリューと呼ばれる刃で土を練り上げながら、同時にポンプで土の中に含まれる空気を抜き取り、全く空気の含まれない、真空状態の土をところてんのように押し出す機械です。
土に空気を含んだ状態で焼き上げてしまうと「ヒビ」や「ワレ」等の不良が発生してしまいます。それを防ぐための工程です。
高品質のマグカップを届けるための大事な工程なのです。
真空化された土は棒状に加工されます。
真空化直後の土は熱を含んでいるため触れると温かく、また指で押すと凹みが出るほどの柔らかさを持っています。
真空化された土をコテを使い成形していきます(動力成形)
真空化された棒状の土は、成形機に運ばれ、必要な分だけカットします。
この分量は機械で正確に量られています。
カットされた土は石膏で出来た型の中にセットされます。
ここに金属製の棒のような形をしたコテと呼ばれるものが入ることで、実際のマグカップの形になります。
土がセットされた状態。コテが入るのを待っています。
コテが型の中に入るところです。
実はこのコテは高速回転しながら中にセットされた土を押し込んでいます。
このコテが押し込まれることにより、マグカップの元の形が完成します。
陶芸でいう「ろくろ」を、機械が高速で行っているようなものです。
機械で成形された直後のマグカップ。
型から取り出して、さらに後の工程へと続きます。
成形方法にも様々な方法がある
今回マグカップを成形していた方法は「動力成形」といいます。
これは石膏で作られた型に土を入れ、その土に回転したコテを当て成形していく方法です。
マグカップや茶碗など、真円の形状の陶器を作る時はこちらの成形方法が主です。
他にも成形方法があります。こちらでは他の成形方法についてご紹介します。
鋳込み成形
土を石膏の型に流し込んで成形する方法。
この成形方法にはさらに2つの方法に分けられます。
圧力鋳込み
石膏の型に高圧力で水分を多く含んだ泥状の土を注入し成形する方法です。
石膏が泥状の土に含まれる水分を吸収し、水分が抜けた土で形が崩れることなくしっかり成形されます。
石膏の型に土を注入するという製法上、動力成形では成形できない様々な形の陶器をつくることが可能です。
すなわち真円の形状しか成形できない動力成形に比べ、圧力鋳込みは楕円、四角、その他不規則な形状を成形することができます。
ガバ鋳込み
石膏の型の中に泥状の土を流し込み、一定時間放置することで石膏型に土の中の水分が吸われ土が固まることで成形する方法です。
石膏の型の中には圧力鋳込みで使うものよりもっと多くの水分を含んだ泥状の土を注入し、一定時間放置します。
その間に石膏の型に面した部分から水分が石膏の中に吸収され、泥が土のように緩やかに固まり始めます。
その後、型をひっくり返し中の泥土をはき出すことによって、型部分には固まった土だけが残り、中に空洞ができた陶器が成形されます。
ティーポットや壺などはこの成形方法で成形されます。
型の成形
成形に使われる石膏の型も、実は職人の素晴らしい技術によって作られています。
動力成形や圧力鋳込み、ガバ鋳込みで使用されている石膏の型は使用型と呼ばれ、実は消耗品です。
一定数量を成形すると使用型は摩耗し使用できなくなるため、また新しい使用型に取り替えることになります。
その際も職人が一つひとつ手間暇をかけて、以前と同じ型を作成しています。
成形に使われる石膏の型も、実は職人の素晴らしい技術によって作られています。
成形されたカップにハンドルを取り付け
型から取り出されたマグカップはそのままだと角が立っている状態です。
そのため、口元が滑らかになるようスポンジで磨きます。
磨かれたマグカップはハンドルを付ける工程のために、表面に水を噴射して濡らします。
こうすることでハンドルがマグカップ本体に接着しやすくなります。
濡らしたマグカップにハンドルを付けます。
ハンドルを付ける作業はすべて手作業で行われています。
本体とハンドルを接着する際は「ぬた」と呼ばれる水で溶いた土を使います。
「ぬた」が接着剤の役割を果たしています。
ハンドルは最初からくっついている訳ではない
完成品のマグカップにはハンドルがついています。
実はこれはマグカップの成形の途中で、くっつけられているものです。
このハンドルにも、出来るまでにはたくさんの工程があります。
マグカップが完成するまでに必要な様々なパーツそれぞれに、職人の素晴らしい技術が詰まっています。
ハンドル成形
ハンドルを成形する様子。
こちらの成形も「圧力鋳込み」で行われており、石膏の型に高圧力で土を流し成形されています。
成形されたハンドルは、それぞれのマグカップにしっかり接着するよう、その形に合わせ接地面を磨き隙間ができないように仕上げます。
ハンドル型成形
ハンドルの型も先に述べたとおり消耗品のため、使い切った使用型はまた新しい使用型に取り替えます。
この使用型を成形する型をケースと呼んでいます。
ケースとは型を作る型なのです。
この白い部分が使用型、淡いグリーンの部分がケースです。
ハンドルが取り付けられたマグカップは「素焼き(すやき)」を行い、中に含まれていた水分を焼き飛ばします。
素焼き完了後のマグカップ。
この時点ではもう指で押してもびくともしないくらい固まっています。
一見すると完成したマグカップと同じ形をしているのですが、この後釉薬をかけ本焼成することによって実際のマグカップになっていきます。
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