OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
陶磁器業界には、伝統的な「転写絵付」という手法があります。
この手法を使うと、金や銀といった高級感のある色もきれいに印刷できるのが特徴です。
そこで今回は、金や銀色をあしらった高級感のあるマグカップを作る方法について解説します。
また制作の裏話やおすすめの加工方法、使用上の注意点なども紹介。
高級感のあるオシャレなマグカップを作ろうと思っている方は、ぜひ参考にご覧ください。
高級感のあるマグカップの作り方
絵付(印刷)に金や銀を使うことが可能
街中で見かける陶器の中には、カップの縁にぐるっと金の花柄が印刷されていたり、お皿に銀色で模様があしらわれていたりするものがあります。
このように純金や純銀を含む絵の具を使った陶器は、転写絵付によって丁寧に作られているのです。
陶器の印刷方法はほかにも、一点から比較的安価に制作できる「昇華転写プリント」が挙げられます。
しかし昇華転写プリントは家庭用プリンターと同じくシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった4色のインクを掛け合わせて印刷するため、金銀の印刷はできません。
では転写絵付でマグカップに金や銀を印刷する方法を見ていきましょう。
転写絵付の流れを簡単に説明すると、以下のとおりです。
1. 陶器の形を生成
2. 施釉
3. 1,200〜1,300℃の窯で本焼成
4. 焼き上げた陶器の上に印刷
5. 約800℃の絵付窯で焼き上げ
6. 完成
また転写絵付で使用する転写紙の印刷には「シルク印刷」という手法が用いられます。
シルク印刷では色ごとに分けて「版」を制作し、版で刷ったデザインは転写紙という紙に印刷されます。
そしてその転写紙を陶器に貼り付け、約800℃の絵付窯で柄を焼き付けるのです。
この印刷の段階でどの絵の具を使うかによって、仕上がりの色が変わります。
金や銀を表現したい場合は、24金やプラチナを含有した絵の具を使うことで高級感のある仕上がりにできるのです。
24金やプラチナを含有した絵の具は、金液やプラチナ液と呼ばれます。
絵の具に金液やプラチナ液を使う場合も、転写絵付の基本的な作業は変わりません。
マグカップだけでなくプレートやグラスにも対応
転写絵付を用いれば、マグカップだけでなくあらゆるものに金や銀を印刷できます。
たとえばカップ&ソーサーやプレート、ガラス製の食器にも印刷可能です。
またマグの裏側内側、お皿の裏側といった場所に印刷することもできます。
ただし金液やプラチナ液には金属が含まれるため、印刷にはやや注意が必要です。
通常、一般的な絵の具を使った転写紙は温めると伸び縮みする性質があるため、曲面に印刷した場合もフィットしやすい傾向があります。
一方、金やプラチナを使った転写紙は、温めても伸び縮みしにくい性質があるのです。
そのため平面ではなく丸みを帯びたようなカーブのある場所に印刷する際、転写紙がしわになりやすく、うまく貼れないリスクが高くなります。
とはいえ、技術を持った職人が丁寧に時間をかけて作業すればきれいに転写紙を貼ることも可能です。
このように金やプラチナは一般的な絵の具と同じように使えるものの、印刷の難易度はやや上がります。
高い発色でツヤのある仕上がりを実現可能
金液やプラチナ液には純金やプラチナが含まれているため、光沢の美しい印刷ができます。
たとえば下地がツヤのある質感なら、そこに金を印刷することで全体的に艶やかな仕上がりになるでしょう。
ツヤのある下地にプラチナを印刷すれば、鏡のようにピカピカの仕上がりになります。
また金やプラチナに限っては、下地の色が何色でも発色に影響はありません。
通常の絵の具は下地の色に影響され、本来の色が下地の色に食われる現象がしばしば起こります。
しかし金やプラチナでは下地に食われることがないため、下地の何色に関係なくきれいに発色するのです。
たとえば白、黒のマグカップをそれぞれ用意し、同じように印刷するとしましょう。
通常の絵の具を使う場合、白地のマグカップには思ったように発色するカラーでも、黒地の上に印刷したものは下地に食われ暗い仕上がりになります。
しかし金液やプラチナ液を使った場合、どちらの仕上がりも同等です。
むしろ黒地に印刷したほうが色のコントラストが付くため、ほかよりもはっきりと金銀が引き立つでしょう。
このように金銀の絵の具は、下地に左右されない発色の良さも大きな魅力です。
金・銀を使ったオリジナル陶器のおすすめ加工
銀や銀を使う場合、下地をどのような質感にするかで仕上がりが大きく変わります。
下地の特徴 | ツヤのある下地 | マットな下地 |
仕上がりの特徴 | ・光沢の輝きが美しい
・高級感のある仕上がり |
・マット調でシック
・落ち着いた仕上がり |
こんな人におすすめ | ・ハッキリとした仕上がりが好み
・高級感やツヤを演出したい |
・派手過ぎないデザインが好み
・落ち着きや上質さを演出したい |
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ツヤのある金・銀で高級感あふれる仕上がりに
ツヤのある下地に金や銀をあしらうと、全体的に光沢のある美しい仕上がりになります。
陶器の表面にツヤが出るのは、表面が釉薬で覆われているからです。
本来、釉薬を塗らずに土だけでできた陶器の表面はざらざらとしています。
しかしこの釉薬をかけてから1,200〜1,300℃の窯で本焼成することで釉薬に含まれるガラス成分が溶け、ツヤ感を出すことができるのです。
その上から転写絵付すると、金銀そのものの発色も相まって全体的に艶やかで高級感あふれる仕上がりになります。
マット調の金・銀でシックなオリジナル陶器も制作可能
下地がマット調の陶器に金や銀を印刷すると、柄の部分もマットな仕上がりになります。
あえてつやを消したようなマット調のデザインは、落ち着きとシックさが抜群です。
「高級感は出したいけれど、あまり派手にはしたくない」と考えている方にはピッタリの加工といえます。
なお下地の質感は、釉薬の種類を変えるだけで変更可能です。
マット調にしたい場合は、本焼成をしてもガラス成分が完全に溶け切らない釉薬を用います。
このほかの工程はほとんど変わりません。
マットな質感のマグカップを作りたいと考えている方は、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。
【必見】マットな質感のマグカップが作成可能?マット調のオリジナルマグカップ・プレートの制作方法
金や銀を使った陶器の注意点
金や銀を使った陶器は、いくつか使用上の注意点があります。
● 電子レンジに入れると金・銀の柄が損なわれる
● 使い込むと徐々に金・銀が剥がれる
● 時間とともに金・銀がくすんでくる
● 通常の絵の具を使った陶器に比べて価格が高い
こだわって作ったオリジナル陶器を長く美しくお使いいただくためにも、ぜひご一読ください。
電子レンジに入れると金・銀の柄が損なわれる
金銀を印刷した陶器は、基本的に「電子レンジ不可」と表記されます。
これは絵の具に含まれる金属成分が燃え、黒くなったり焦げてしまったりするためです。
ちょうどアルミ箔を電子レンジに入れるとバチバチ火花が散るのと同じように、金銀を印刷した陶器を電子レンジに入れると、絵付けしたところから火花が出ます。
せっかくの絵柄が黒く焦げたようになってしまうため電子レンジには入れないようにしましょう。
ただし、金銀の絵柄が焦げたからといって、食品衛生上使えない食器になっているわけではありません。
万が一誤って電子レンジに入れてしまい、柄が焦げてしまったとしても今までと同様にお使いいただけます。
上に書いた通り、純金やプラチナを含む絵の具で絵付けした陶器は、基本的に電子レンジ不可とされます。
電子レンジにも対応できて、なおかつしっかり金や銀をあしらった陶器を作るのはなかなか難しいでしょう。
強いていえば、マット金やマット銀といった絵の具がおすすめです。
業界用語では「雲母金」や「雲母銀」とも呼ばれます。
これらの絵の具には金属が含まれていませんが、金のように光を乱反射させる素材が含まれています。
マット金やマット銀を使えば、ピカピカとはいかないまでもマットな金や銀に近い輝きを表現することが可能です。
使い込むと徐々に金・銀が剥がれる
金や銀をあしらった陶器は、長く使い込むうちに少しずつ金や銀が剥がれることがあります。
よくあるのが、金や銀を絵付したお皿にフォークやナイフといった金属食器が直接触れるケースです。
フォークやナイフがお皿に触れるたび、目に見えないような細かい傷が表面に付いて、少しずつ金や銀が剥がれることがあります。
ただし、そこまであっという間に剥がれてしまうわけではありません。
なお絵付の耐久性を最も重視するのであれば、金銀以外の絵付をおすすめします。
通常の絵の具を使った陶器は、長く使い続けて食洗機で洗っても劣化せず、印刷がきれいにいつまでも残るのが強みです。
これは絵の具が表面の釉薬の中にまで浸透しており、釉薬と完全に融合しているからこそ実現している耐久性といえます。
時間とともに金・銀がくすんでくる
金や銀は放置すると酸化し、徐々にくすみが生じます。
これは指輪やネックレスといった、アクセサリーと同じです。
飾り皿としてまったく使わず置いておいても、空気に触れるだけでも酸化は進みます。
ちなみに金がくすんできた場合は貴金属と同じようにやわらかい布で拭くと、ある程度の輝きが復元できます。
通常の絵の具を使った陶器に比べて価格がやや高い
金やプラチナを使った陶器は、通常の絵の具を使ったものに比べて価格が割高になります。
その理由は主に以下の2つです。
● 純金やプラチナを含む絵の具の値段が高い
● 制作の難易度が高い
純金やプラチナを含む絵の具が一般的な絵の具よりも高額になるのは、想像しやすいでしょう。
また先に説明したとおり、金属を含む絵の具は通常の絵の具に比べて伸びが悪いため、曲面への絵付けに慎重な作業が必要となります。
さらに金液やプラチナ液を使う場合は、「ガスかぶり」に注意しなければなりません。
ガスかぶりとは、一緒に絵付窯へ入れた陶器の絵の具の溶剤等から放出されることがあるガスの影響で、金や銀の光沢がなくなってしまう現象です。
ガスかぶりが起きた場合、ツヤの消えてしまった陶器はすべて作り直しとなります。
こうしたリスクもあるため、金や銀をあしらった陶器はほかのものより割高に設定される傾向にあるのです。
まとめ
金や銀をマグカップに印刷する方法について解説しました。
弊社では陶磁器業界ならではの転写絵付による印刷に対応しています。
金や銀だけでなく豊富なカラーバリエーションをそろえておりますので、お気軽にご相談ください。
長年培ったノウハウと職人の技術で、納得のいくオリジナルマグカップ作りをご提案いたします。
また色だけでなく形や印刷の箇所など、弊社ではお客様さまの様々なこだわりに対応いたします。
土から成型し、カラーリングまでとことんこだわってイチから作れば、思い出深い一点物のマグカップができるでしょう。
長く使える、自分だけのオリジナルマグカップをぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
Coffee Supremeは1993年にニュージーランドの首都・ウェリントンで誕生してからというもの、オーストラリア・メルボルン・ブリスベン3都市で直営店6店舗を展開し、ついに日本上陸を果たしたスペシャルティコーヒーロースターです。
日本の一号店となる渋谷店では、祖国ニュージーランドのCoffee Supremeらしさそのまま受け継いで表現しているのが特徴。ファースト・スティングではかねてより、オリジナルマグカップの制作をご依頼いただいていました。
そんな中、今回はCoffee Supreme Japan代表の松本さんとPR担当の上田さんに、Coffee Supreme渋谷店の誕生秘話や、オリジナルマグカップ制作にこめた想いを伺いました。
Coffee Supremeのビジョンや、お客様への想い。カフェという営業形態を超えたコラボ活動などの裏話をお聞かせいただきました。
日本への出店を決めた理由、お店のこだわりについて
Coffee Supremeさんは元々ニュージーランドのお店とのことですが、日本に出店を決めたのは何故ですか?
ー松本氏
僕がニュージーランドに移住していたとき、Coffee Supremeには元々お客として通っていたんです。
コーヒーもおいしいし、雰囲気もいいし、働いているスタッフもかっこいいし。いつかこのカルチャーを日本に持っていきたいなと漠然と思っていて。
そして、たまたま僕がカフェにいる時に当時のCEOと会い、英語もできないのに「日本でもやろう」というお話を僕から直接して、2、3年かけて日本出店が実現しました。
Coffee Supremeさんのこだわりとは?
ー松本氏
お店としては、コーヒーをツールにして人とつながるというところが一番のポイントです。
美味しいコーヒーを出すのは当たり前で最低限のことなので、さらにその先、コーヒーを通じていろいろな人とつながれることを一番大事にしています。
実店舗やネットショップの盛り上がりについてはいかがですか?
ー上田氏
お店はコロナ禍になったことで、家で仕事をする方が増え、新しい常連さんが増えました。
休憩時間中にお店に来て、コーヒーを買うついでに、コーヒー豆とマグカップなども買われる方が増えています。
ネットショップは、コーヒー豆やインスタントコーヒーにプラスして、おうち用のマグカップを買われる方がすごく増えました。
数々のオリジナルマグカップを作ろうと思ったきっかけ
オリジナルマグカップをつくろうと思ったきっかけを教えてください
ー松本氏
普通にコーヒー飲むのにマグカップが必要だなというのもあるし。コーヒーだけでなく、空間ごと五感で楽しめるお店みたいにしたかったなというイメージがありました。
単純に既製品のマグで飲むよりも、底にメッセージがあればくすっと笑えるし。アーティストとのコラボとかを見ていても、見て飲んで楽しめるようなデザインのマグカップってすごくいいなと。
マグカップのデザインのこだわり、こめたメッセージについて
マグカップのスタッキングにこだわるのはどうしてですか?

マグカップのスタッキングにこだわるのはどうしてですか?
ー上田氏
重ねる楽しさというか、コレクションしたくなる。そういう観点から、スタッキングにこだわっています。
ー松本氏
スタッキングがあると収納も便利だし、ブロックみたいですごく楽しさがあるなと思います。
デザインするメッセージのルーツや、想いを聞かせてください
ー上田氏
「MUGS NOT DRUGS」は、本国のニュージーランドにもオーストラリアにもあるキャッチコピーです。ニュージーランドの文化というか、そういったものを日本でも楽しめるように意識してます。
あとは「SAME AGAIN(同じものをもう1つ)」などカップの中のデザインがコーヒーを飲んだ後にちらっと見えて、実際に「これもう1杯」って言う面白さとか。
ー松本氏
「MUGS NOT DRUGS」には、「ドラッグよりもマグを持っているほうがかっこいいじゃん」という意味があります。
そういうドラッグカルチャーを少しでもコーヒーに変えていこうよという裏の意味もあったりしますね。海外っぽいですが。「マグでコーヒーを飲んでいるほうが実際イケてるんだぜ!」と、思って欲しい気持ちはあります。
ただネイティブの人じゃない人が読むと「コーヒーがドラッグだ」といった感じの意味にとらえている人が多いと思うんです。でもそれはちょっと違う。
僕たちのマグカップに書いてあるのは、本当にくすっと笑えるくらいのメッセージです。
世界的アーティストとのコラボなど、コラボマグカップを作るようになったきっかけを教えてください
ー松本氏
オセアニアから来て、まだまだCoffee Supremeの認知もそんなに高くないので、Coffee Supremeの信念というか、DNAとして、ローカルのいい人たちとつながろうという思いからコラボを始めました。
コラボした花井祐介さんやNAIJEL GRAPHさんは個人的に大ファンで。
また日本のコラボに関しては、国内でやるならやっぱり日本のクリエイターと何かに仕事をしたほうが絶対いいものになるし、ということで一緒に仕事をしてみたいと思ったのがきっかけですね。
通常のスタッキングで重なるタイプではなく、ダイナー系のコラボマグカップを選んだ理由はありますか?
ー松本氏
花井さんは海外でも活躍されているので、通常のスタッキングより海外の風を感じられるデザインに重点を置きました。
この絵柄も、せっかくならちゃんと見せたいなという想いがあったので。
今後の展開についてお聞かせください
ー上田氏
地方の方にもCoffee Supremeを知ってもらえるように、イベントなどでマグカップの販売していきたいですね。
ー松本氏
最近イベントとかで、コーヒー豆の卸先さんからこのスタッキングがけっこう評判良くて。「それを常設で使いたい」という方もいるので、ぜひお店で使ってもらいたいですね。うちのお店自体も、今渋谷のこの1店舗だけですけど、地方とかにも小さいお店が出せたらいいなと思ってます。
皆さんロングインタビューにお時間いただき、ありがとうございました。
まとめ
赤と白を基調に彩られた店内は明るく活気にあふれ、松本さんと上田さんのCoffee Supremeに対する想いを象徴しているようでした。取材も終始にぎやかな雰囲気で終わり、我々はCoffee Supremeの勢いを実感すると同時にモノづくりの醍醐味を改めて感じました。
松本さんと上田さんのように、ビジョンを持って経営に取り組まれる飲食店様を、オリジナル陶器制作という観点でサポートさせていただくことは、非常に楽しく、そして喜ばしいことです。
ファースト・スティングでは、陶器の型づくりからすべてオリジナルで陶器を制作いたします。そのため、他店にないマグカップの形状や配色なども可能です。
ロゴやフォント、質感など細部にいたるまでご相談いただけるため、こだわりぬいた納得の1点ができあがること間違いなしです。ぜひお気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
オリジナルの卒園記念品制作ならおまかせください。
20年以上にわたり、色あせない思い出作りのお手伝いをさせていただいております。
近頃では、オリジナルデザインのマグカップやお皿を簡単に作れるようになりました。
何かのイベントや記念品、または自分の店でオリジナル陶器を使いたいと考える人もいるでしょう。
自分のアイデアや想いが詰まったデザインは、できるだけきれいに印刷したいものです。
そこで今回はマグカップを例に、2種類の印刷方法をご紹介します。
陶器は柄の印刷方法によって仕上がりに差が出るため、あらかじめ印刷方法の特徴を知っておくことは重要です。
自分に適した印刷方法を選び、イメージ通りのオリジナルマグカップを完成させましょう。
マグカップへプリントする方法について
まずはマグカップへ柄をプリント(印刷)するにあたり、どのような手法があるのか見ていきましょう。
マグカップへの印刷方法は主に2種類
マグカップへの印刷方法は、主に以下の2種類です。
● 転写絵付
● 昇華プリント
いずれも、完成したマグカップの表面に凹凸はできず、フラットな仕上がりになります。
転写絵付について
転写絵付は、陶磁器業界に古くから伝わる伝統的な印刷方法で、フラットデザインとも呼ばれます。
「絵付」という言葉は、いわゆる「プリント(印刷)」という意味です。
本格的に陶器に柄をプリントする手法の中では、最も一般的といえるでしょう。
雑貨店、専門店、百貨店等で販売されている本格的な陶器は全て転写絵付と考えて差し支えありません。
転写絵付は、表面がガラス質でツルツルとしている陶器にも、しっかりと柄を密着させられるのが特長です。
転写絵付の工程は、以下のとおり。
1. 無地のマグカップを焼き上げる
2. プリントする柄に対応した版を作成する
3. ②の版を用い、色ごとに転写紙に柄を刷る(シルク印刷という手法)
4. 焼き上げた無地のマグカップに、③の転写紙を職人が手作業で貼り付ける
5. 800℃の絵付窯で数時間焼き上げ、転写紙の柄をマグカップに焼き付ける
6. 完成!
ポイントは柄を刷った転写紙をマグカップに貼り付けた状態で、800℃の絵付窯で焼き上げるという点です。
マグカップの表面を覆う「釉薬(ゆうやく・うわぐすり)」はガラス質が多く含まれ、800℃の絵付窯に入れると表面が徐々に融けていきます。
(ガラスの融点が800℃弱のため)
すると転写紙の絵の具が融けかけた釉薬になじみ、柄が付くという仕組みです。
焼き上げが終わり、再び釉薬が冷え固まると柄もしっかりと定着します。
昇華プリントについて
昇華プリントは、元々は繊維業界が発祥でポリエステル素材にのみプリント出来ます。
ポリエステルに対しては単なるプリントではなく分子レベルで融合するため、ポリエステル素材のウェアやのぼり等には非常に適した現代的な印刷方式といえます。
その繊維業界発祥のポリエステルにしか印刷できない昇華プリントがどうしてマグカップにプリント出来るのでしょうか。
それは材質が陶器であるマグカップの表面に、ポリエステルが塗布されているからです。
ですから陶磁器業界で焼き上げたマグカップにそのまま昇華プリントすることは出来ません。
表面にポリエステルを塗布し昇華プリント用に二次加工されたマグカップが流通していますので、マグカップに昇華プリントする際はこの昇華プリント専用のマグカップを使用する必要があります。
この昇華プリント用のマグを手に入れると方法が比較的簡単で、なおかつコストもかからないのが特長です。
そのため「1点からオリジナルマグカップ制作可能」といったサイトの多くは、昇華プリントを採用しています。
昇華プリントの工程は、以下のとおりです。
1. 無地のマグカップを焼き上げる
2. 焼き上げた無地のマグカップの表面にポリエステルを塗布する
3. 昇華プリンターを使用し、昇華用の転写紙に昇華インクを反転印刷する
4. 表面のポリエステルに押し当てるように③の転写紙を重ねる
5. 加熱・加圧して表面のポリエステルに融合させる
6. 完成!
マグカップの表面を覆う釉薬はガラスの成分が多く含まれ、普通はそのままインクを乗せてもすぐに柄が落ちてしまいます。
そのため一度マグカップの表面にポリエステルを塗布し、その上からインクをしみこませることで昇華プリントは柄を定着させるのです。
転写絵付のような本格的な絵付窯での焼き上げは必要なく、簡易なプリント方法といえます。
転写絵付と昇華プリントの違い
では、転写絵付と昇華プリントではどういった違いがあるのでしょうか。
主な違いは、以下の3点です。
● デザインの耐久性
● デザインの耐光性
● デザインの再現性
転写絵付と昇華プリントによる仕上がりの違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
特に黒いマグカップにロゴや柄を入れたいと考えている方は、こちらも必見です。
【徹底解説】黒いマグカップに印刷できる!?おしゃれなオリジナル黒マグカップの制作方法
デザインの耐久性の違い
デザインの耐久性においては、転写絵付の方が優れているといえます。
転写絵付 | 昇華プリント | |
耐久性 | 〇 | △ |
転写絵付は800℃の絵付窯で釉薬の表面を半分溶けたような状態にし、絵の具を馴染ませるため「印刷している」というよりも「表面の釉薬に絵の具を溶け込むほど強く密着させている」手法といえます。
そのため、繰り返し洗ったり食洗器に入れたりしても、柄が剥がれたり薄くなったりすることはほとんどないのです。
もちろんマグカップが欠けてしまった場合は、その部分の柄は消えてしまいます。
しかし、経年劣化では全く印刷が落ちないのが、転写絵付の魅力です。
800℃で発色させるには無機物である必要があり、無機顔料を使っているのも転写絵付の大きな特徴です。
一方、昇華プリントはマグカップの表面にポリエステルを塗布し、その上からインクをしみこませることで印刷しています。
ポリエステル繊維へのプリントであれば抜群の印刷強度といえるのですが、マグカップに対しては素材の陶器に直にプリントしているわけではなく、表面にコーティングされたポリエステルに印刷されているため、ポリエステルのコーティングがはがれてしまうと同時に印刷は消えてしまいます。
食洗器に繰り返し入れると、塗布したポリエステル部分がはがれることもあり、その場合はがれた部分のプリントは消えてしまいます。
では、転写絵付と昇華プリントで印刷したデザインの耐久性に、どれほどの違いがあるのか見ていきましょう。
下記の画像は、左右両方とも転写絵付で柄を印刷したマグカップです。
左が納品時のマグカップで、右が1年間食洗器に入れ続けた後のマグカップです。
1年食洗器に入れ続けても、さほど状態に差がないことが分かります。
では、昇華プリントの場合はどうでしょうか。
下記の画像は、左右両方とも昇華プリントで柄を印刷したマグカップです。
左が納品時のマグカップで、右が1年間食洗器に入れ続けた後のマグカップになります。
右側のマグカップを見ると、左から2番目の人の髪や、一番右の人の右頬の色がはげてしまっています。
マグカップを少し回転させてみると、あちこちに印刷のはがれが見られます。
このように転写絵付と昇華プリントでは、印刷した柄の耐久性が大きく異なるのです。
デザインの耐光性の違い
デザインの耐光性においても、転写絵付の方が優れているといえます。
ここでいう耐光性とは、日の光(主に紫外線)に当たっても色が変わったりあせたりせず、元の発色を保ち続けられる性質のことです。
転写絵付 | 昇華プリント | |
耐光性 | 〇 | △ |
転写絵付は「無機顔料」と呼ばれる絵の具で柄を印刷します。
無機顔料は無機物なので、外的な要因で変化することがありません。
つまり、直射日光(紫外線)をいくら当てても色あせることがないのです。
一方昇華プリントは写真と同じで「有機顔料」を使った印刷方法のため、日光に当て続けるとだんだんと色があせていきます。
セピア色になっていき、最終的には柄が薄れて消えていくのが昇華プリントの難点です。
近年ではインクの進化により耐光性も上がっているものの、無機顔料を用いる転写絵付の耐光性には及びません。
では、転写絵付と昇華プリントで印刷したデザインの耐光性に、どれほどの違いがあるのか見ていきましょう。
下記の画像は、左右両方とも転写絵付で柄を印刷したマグカップです。
左が納品時のマグカップで、右が1年間直射日光に当て続けた後のマグカップです。
1年間日光に当たっていても、状態に差がないことが分かります。
では、昇華プリントの場合はどうでしょうか。
下記の画像は、左右両方とも昇華プリントで柄を印刷したマグカップです。
左が納品時のマグカップで、右が1年間直射日光に当て続けた後のマグカップになります。
右側のマグカップを見ると、特に顔の色が薄くなり、髪の毛も黒から茶色がかった色に変化しているのが分かります。
アップでよく見てみると、全体的に黒が茶色へと変色し、色が薄くなっています。
納品時は真っ白だった表面のポリエステルも、時間が経つにつれて黄ばみ、日に焼けていることが分かります。
このように転写絵付と昇華プリントでは、印刷した柄の耐光性が大きく異なるのです。
デザインの再現性の違い
オリジナルデザインの陶器を作る際、イメージ通りの印刷ができるかどうかも重要なポイントです。
思い描いたデザインを反映する「再現性」においては両者ともに、以下のとおりメリットとデメリットがあります。
転写絵付 | 昇華プリント | |
メリット | ・柄のフチ取りがハッキリ再現できる | ・発色が良い |
デメリット | ・ビビッドな色の発色が難しい | ・柄のフチがややぼやける |
まず転写絵付ですが、印刷後の柄は昇華プリントに比べてくっきりとしており、フチ取りがハッキリとした印象になります。
特に特色1色印刷の場合、昇華プリントはCMYKの4色で特色を表現するためぼやけやすいのに対して、転写絵付はその色に絵の具を調色して1回の印刷をするため、エッジの効いた鮮明な1色印刷になるのが特長です。
ロゴをくっきりと目立たせたい場合などにおすすめです。
しかし、転写絵付にもデメリットといえる部分はあります。
それが発色です。
転写絵付は800℃の絵付窯での焼き上げを行うことから、どうしてもビビッドで明るい発色を再現しにくいという難点があります。
この点、有機系インクを用いる昇華プリントは鮮やかな色合いも再現できるのが特長です。
ビビッドカラーのデザインを検討していて、発色の良さを最重要視するなら昇華プリントを選ぶのも1つの手段といえます。
それぞれの違い、メリットを理解した制作を
転写絵付と昇華プリントには、それぞれメリットとデメリットがあります。
たとえばお店で使うマグカップや記念品としてのマグカップを制作する場合、耐久性や耐光性に優れた転写絵付による柄の印刷がおすすめです。
長い間、変わらずオリジナルデザインを楽しめるでしょう。
一方、イベントなどで1日だけの使用等の場合は、小ロットだとコストの低い昇華プリントによる柄の印刷もおすすめです。
ビビッドな発色のデザインを検討している場合、特に昇華プリントならイメージ通りの印刷ができるでしょう。
このように、どの印刷方法を選ぶかは「どんな目的でオリジナルマグカップを作るか」によって異なります。
2つの印刷方法の違いを理解した上で、自分の目的に合った方法を選びましょう。
まとめ
転写絵付と昇華プリントの違いについて解説しました。
弊社では20年以上にわたりオリジナル卒園記念品の制作に携わってきました。
印刷方法は、陶磁器業界ならではの転写絵付に特化しています。
20年前に制作した記念品のお子さまは、今では社会の各方面で活躍する方々に成長されていることでしょう。
そういった方々の手元にも、20年前と変わらない色あせないマグカップが思い出として輝き続けていることを想像すると、弊社としてもこの上なく嬉しく思います。
色あせない思い出作りをご検討されている卒園記念品制作担当の皆さま、まずはお気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナルの卒園記念品制作ならおまかせください。
20年以上にわたり、色あせない思い出作りのお手伝いをさせていただいております。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
陶器といえば、つるりとした手触りで照りのある見た目を想像する方が多いかもしれません。
しかし実は、陶器をツヤのない「マット調」に仕上げる手法もあるのです。
光沢がなく、ざらざらした質感に仕上がったマット調の陶器は、スタイリッシュで落ち着いた雰囲気を醸し出します。
カフェやレストラン、または自宅でも、ゆったりとした優しい空間を演出してくれるでしょう。
また、マット調の陶器は市場では意外と目にすることが少ないかもしれません。
そのため、自分だけのオリジナル陶器制作を検討されている方にはおすすめの加工方法です。
ただし市場で目にすることが少ないといっても、作り方はそう難しくありません。
意外にも、一般的な陶器の制作過程と同じような手法で制作できます。
そこでこの記事では、「マット調の陶器」の作り方について詳しくご紹介します。
ツヤのある陶器との違いや、マット調ならではの表現をぜひご覧ください。
マットな質感のオリジナル陶器の作り方
本体をマットな質感にするためには?
陶器をマット調にしたい場合、マット調の質感が再現できる「釉薬(ゆうやく)」を使用します。
ツヤのある陶器との作り方の違いは、これだけです。
ほかに特別な技術や製造工程を必要とするわけではありません。
マット調に焼き上がる釉薬を使った上で、通常通りに焼成すればマットな質感の陶器が仕上がります。
なお、そもそも釉薬を施さずに本焼成すれば表面は土のままのため、ザラザラとした仕上がりになります。
釉薬を施さない陶器は「ビスク」と呼ばれ、土の素材そのものの質感が表面に出るため、ザラザラとした仕上がりになるのです。
ビスクもマット感のある仕上がりではありますが、マット調の釉薬を使って焼き上げたものとは根本的に意味合いが違います。
そのため本記事では釉薬を使うことを前提として、マット調の陶器を制作する方法について解説していきます。
陶器を色づける「釉薬」がマットな質感を演出
釉薬は、陶器の表面をコーティングするために使われる薬品です。
主成分はガラスの原材料の一部として使われる「長石(ちょうせき)」や「珪石(けいせき)」で、これらに発色させたい色によって金属成分等を調合していきます。
一般的に、陶器に釉薬をかけた後は1,200~1,250℃の窯で焼成する「本焼き」と呼ばれる工程に移ります。
この本焼きで釉薬に含まれるガラス成分が溶け、一般的な陶器のツヤが生まれるのです。
しかしマット調用に調整された釉薬は、本焼きをしても完全に溶け切らない状態のため、ガラスのようなツヤ感は出ません。
中のガラス成分が完全に溶け切る前の状態で焼き上がるため、マット調ならではのざらっとした質感が再現できます。
もちろん、焼きあがった陶器の強度はツヤのあるものと遜色ありませんので、食器として使用する際も安心です。
ただし、マット用の釉薬とツヤの出る釉薬を併用するのはおすすめできません。
よくあるのが、陶器の内側と外側で釉薬の色を変え、ツートンカラーにするデザインです。
この場合、マット用とツヤの出る釉薬を併用すると、陶器としての強度が不安定になってしまうことがあるのです。
その理由は、内側と外側の釉薬、つまりマット用釉薬とツヤの出る釉薬の収縮率の差にあります。
土も釉薬も、高温で焼き上げると収縮する物質です。
つまり強度の安定した陶器を作るには、土と釉薬はもちろん、内側と外側の釉薬の収縮率も合わせる必要があります。
もちろん陶器としてまったく使えないわけではないので、仕上げること自体は可能です。
しかし、耐久性の不安定さを考慮して、マット用の釉薬を用いる際は、一部でなく全体をマットにすることを基本としています。
ツヤの出る釉薬を用いる場合も同様です。
マット調のオリジナル陶器でのオススメ加工
ツヤありの陶器と同じ加工を施すことが可能
マット調は、ツヤのある陶器と同じ手法で柄やロゴのデザインが可能です。
陶器にロゴなどの模様を付けることを、「絵付(えつけ)」と呼びます。
一般的に、絵付の方法は以下の2種類です。
● 転写絵付(フラットデザイン)
● 撥水絵付(エンボスデザイン)
上記の手法は、主に絵付をするタイミングが異なります。
転写絵付は釉薬をかけてから1,200~1,250℃の窯で本焼きをし、その後に絵付をする手法です。
具体的には、本焼きを終えた陶器に転写紙と呼ばれるデザインの描かれたフィルムを貼り付け、約800℃の絵付窯でデザインを焼き付けます。
一方、エンボス調に仕上がる撥水絵付は、釉薬をかける前に撥水性のある「呉須」というインクで絵付する手法です。
呉須は上から釉薬をかけてもはじくので、絵付した部分だけくぼんだ状態になります。
転写絵付でツヤとマット調のコントラストを楽しむ
マット調の釉薬をかけて本焼きした陶器に釉薬と同色の転写絵付をすると、柄の部分だけがツヤのある質感に仕上げることができます。
光の反射や照りでロゴの部分だけが浮かび上がるというおしゃれなデザインです。
柄を主張したい場合には不向きですが、シックな統一感を損なわずにちょっとしたアレンジを加えたい場合におすすめの配色です。
ただし、あまりにザラつきの目が荒い仕上がりだと、絵付に用いる転写紙が貼りにくくなる可能性もあります。
ビスクではなく釉薬でマット調を表現する陶器なら、たいていの場合転写絵付も問題なくできるでしょう。
撥水絵付でより個性的なオリジナル陶器を
マット調の陶器を作るなら、撥水絵付もおすすめです。
一般的なツヤのあるカラーの釉薬に比べて、マット調の釉薬は撥水絵付に適しているといえます。
撥水絵付を綺麗に仕上げるには、絵付した部分に上からかけた釉薬が重ならないようにしなければなりません。
釉薬の主成分は水性のため、撥水性のある油性の絵の具(呉須)と弾き合います。
マット調の釉薬はガラス成分が完全に溶け切っていないという性質があるので、液状になって柄の上に垂れてくる可能性も低いため、マット調の釉薬を用いた陶器は柄がクッキリと仕上がりやすいのです。
撥水絵付は手法の性質上、デザインの表現に限界はありますが、マット調の釉薬を使えば比較的ハッキリとした柄に仕上がる場合が多いのが特徴です。
特にロゴを入れたい場合や、ワンポイントでマークを入れたい場合などにおすすめです。
絵付した部分には凹凸ができるので、思わず触りたくなる陶器に仕上がるでしょう。
まとめ
マットな陶器の作り方についてご紹介しました。
ツヤのない陶器は重厚感があるだけでなく、落ち着きや安らぎといった雰囲気の演出に効果的です。
またあまり目にすることが少ない質感でもあるため、オリジナリティあふれる個性的な陶器を作りたい方にもおすすめ。
弊社では、マット調の陶器制作に対応しています。
転写絵付や撥水絵付によるロゴやイラストのデザインもご相談可能です。
ご自身のオリジナルデザインを検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
デザインはもちろん、安全性や耐久性にも考慮した上で、世界に1つだけの陶器作りをサポートいたします。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
今や誰でも簡単にオリジナルの陶器が作れるようになりました。
これは機械によるプリント技術の発達などが大きく関係しています。しかし、今もなお機械で再現できない陶器業界の伝統技法は少なくありません。
その中の1つがマグカップの縁(ふち)にカラーリングする「口線加工(くちせんかこう)」と呼ばれるものです。
街中ではよく見る加工でありながら、あまり知られていないこの技法。今回はそんな口線加工の方法や、表現について詳しくご紹介していきます。
個性あふれるオリジナル陶器の制作をお考えの方は、特に必見です。
陶器業界に伝わる「口線加工(くちせんかこう)」について
口線加工とは
口線加工とは、縁線加工(ふちせんかこう)とも呼ばれ、陶器のふちの部分だけに全体とは異なる色をのせる技法です。
陶器のふちとは、マグカップでいうと飲み口に当たる部分。平たいお皿なら、一番外側の部分がふちに当たります。
口線加工は、ふちの部分だけに色を付けることができる技法です。
つまり白いマグカップの飲み口部分だけを黒くしたりすることができます。よく見るのが、白地でふちに金色の加工がほどこされたプレートやマグカップです。こういった陶器は、口線加工によって作られています。
ちなみに口線加工は、古くから日本に伝わる伝統的な技法の1つです。口線加工で表現される模様は、機械では再現できません。
陶器のふちに筆を当て、ろくろを回しながら手作業で線を引くというのが口線加工のやり方です。
陶器へのプリント技術が発達した今でも、口線加工は手作業でしか行なわれていません。職人の腕が光る伝統技法といえます。
口線加工には2種類の方法がある
口線加工には、2種類の方法があります。
1つは上絵付(うわえつけ)という方法です。上絵付での口線加工は、完成した状態の陶器に線を引きます。
陶器には素焼き、施釉、本焼きという制作過程があります。上絵付で口線加工をする場合、これらすべてを終えた完成形の陶器に絵付を行ないます。
つまり釉薬をかけた陶器の上から、専用の絵の具もしくは金液を塗るという方法です。その後、約780~800℃の窯で仕上げの焼き上げを行ないます。
ここで用いる絵の具は、800℃前後でもしっかりと発色する絵の具です。
これに対し、もう1つの方法が下絵付(したえつけ)という方法です。素焼きを終え、釉薬をかける前の陶器に絵付を行ないます。
この際使用するのは、「呉須(ごす)」と呼ばれる絵の具です。そして呉須で線を引いた後、陶器に釉薬をかけます。この時の釉薬は透明のものを使うのが一般的です。
釉薬にはカラフルなものが多数ありますが、色のついた釉薬だとせっかく下絵付で引いた口線の上に色釉薬が乗ってしまい、口線が見えなくなってしまうからです。その後約1,200℃の窯で本焼きを行ない、完成です。
下絵付で口線加工をすると、釉薬が引いた線をコーティングしてくれます。そのため、口線加工でほどこしたふちの線が取れにくいのが特徴です。食洗器などに入れても、長く使っても釉薬自体が剥がれ落ちない限り、ふちの線が薄れたり消えてしまうことはありません。
また、下絵付にはもう1つの方法があります。それはふちの柄を境に、内側と外側の色が異なる陶器を作りたい場合に用いられる方法です。
この場合、呉須に油性の撥水剤を混ぜて口線加工を行ないます。これにより後からかけられた釉薬がはじかれるのです。口線加工した線を境に釉薬がはじかれることで、2色が線を侵食することなくくっきりと色分けできます。
ちなみに、金色の柄をつけるのに用いる金液はその性質上、1,200℃の窯に入れると焼け飛んでしまいます。そのため、すでに完成した陶器に絵付をする「上絵付」でしか口線加工をすることができません。
口線加工の方法とは?
では口線加工の方法を、さらに詳しく見ていきましょう。先ほどご紹介した「上絵付」と「下絵付」の2種類に分けて制作手順をご紹介します。
上絵付による口線加工の方法
上絵付で口線加工をする場合、手順は以下の通りです。
①成形
②素焼き
③施釉
④本焼き
⑤上絵付による口線加工
⑥焼き上げ
①~④までは、一般的な陶器を制作する工程です。
800℃前後で素焼きした陶器に、釉薬をかけます。その後1,200℃前後の窯で本焼きを行い、無地の陶器の完成です。上絵付による口線加工は、この後に絵付を行ないます。
焼きあがった陶器をろくろの上に置き、専用の絵の具や金液を用意します。筆に絵の具もしくは金液を付け、模様を付けたい部分に筆を当てながらろくろを回すという方法です。
線を引く手は動かさないのがポイント。ろくろの回転によって、綺麗な線が引かれていきます。
そして絵付が完了したら、仕上げの焼き上げです。このときもまた、素焼きと同様に800℃前後の窯で焼き上げを行ないます。
これにより絵の具や金液が陶器本体に定着し、上絵付による口線加工を施した陶器の完成です。
下絵付けによる口線加工の方法
一方、下絵付による口線加工の方法は以下の通りです。
①成形
②素焼き
③下絵付による口線加工
④施釉
⑤本焼き
②までは、一般的な陶器と同じ制作手順です。本来であれば、この後に釉薬をかける工程があります。
しかし下絵付で口線加工を施す場合、釉薬をかける前に絵付を行ないます。絵付に用いるのは呉須という絵の具です。また、釉薬をはじかせたい場合は呉須に油性の撥水剤を混ぜて使用します。
口線加工の方法は上絵付と同様です。素焼きを終えた陶器をろくろの上に配置し、呉須を筆に取ります。そして線を引きたい場所に筆を当て、ろくろを回すという方法です。
こうして陶器に線が引けたら、釉薬を上からかけていきます。釉薬は透明なものから色のついているものまで、バリエーションが豊富です。しかし下絵付で口線加工をする場合は透明の釉薬を使うか、撥水剤を混ぜた呉須で釉薬をはじかせることで線が消えずに仕上がります。
釉薬をかけたら、最後に本焼きです。本焼きは1,200℃前後の窯で行ないます。これにより釉薬が固まって定着し、下絵付による口線加工を施した陶器の完成です。
口線加工を使って表現できるもの
カップの口元やプレートの縁をオシャレに色付け
口線加工を使うことで、よりオリジナリティのあふれる陶器を制作することができます。例えばマグカップの口元だけに色を付けるなど。
ちなみに口線加工は、職人の確かな技術が求められる技法です。そのため、職人のいる本格的な陶器屋でなければ表現できません。陶器における質の高さや、珍しいデザインを追い求める方にはもってこいの技法といえるでしょう。
また、口線加工は色のバリエーションも豊富です。パステルな色合いから鮮やかな色合いまで、繊細に表現することができます。
ただ、残念ながら陶器そのもので表現が苦手な色はあります。例えば非常に明るいマゼンタなど、ビビッドな色は苦手です。これは800~1,200℃という高温で発色する無機顔料では表現できないからです。
こうしたビビッドな色以外であれば、専用の絵の具や呉須を用いてオリジナルデザインを作ることが可能です。
金やプラチナで口線加工も?
贈り物などでよく使われる金縁の食器にも、口線加工が用いられています。これはマグカップやプレートに限らず、さまざまな陶器に応用可能です。
例えば湯呑のような形の陶器でも、口線加工を利用すれば金色で縁取ることができます。金が施された陶器には高級感があり、見た目にも美しいのが特徴です。
また、高級感を演出するのは金だけではありません。銀色の線を引く際には、プラチナを用いることもできます。
一般的に銀線を引く際は、プラチナやパラジウムといった素材を使用します。銀線の引かれた陶器は、金とはまた違ったシックな高級感が特徴です。
お皿の内側に線を引いてよりこだわった仕上がりに
口線加工は、ろくろを回しながら線を引く技法です。そのため、筆を当てる場所によっては様々なパターンの柄を表現することができます。
例えば、ふちから数センチ下がったマグカップの内側に綺麗な線を引くことも可能です。またはコーヒーカップを乗せるソーサーの、底にあたる部分にのみ線をひく、といったことも理論上はできます。あるいは四角形のお皿のふちに線を引くことも。
さらに、引いた線を境目に内側と外側の陶器の色を変えるということもできます。例えば白い線を境に、内側は赤、外側は赤いマグカップを作れるということです。
このように、口線加工はただ縁取りをするだけの技術ではありません。やり方によっては、様々なデザインを表現することができます。
ただし、綺麗に線を引くには確かな職人の技術が必要となります。プリント印刷での絵付だけを請け負っている制作会社では、こうしたアレンジはおろか口線加工自体を請け負っていません。
自分だけのこだわりのデザインを再現したい方は、陶器の専門会社に問い合わせてみるのがおすすめです。職人のいる陶器会社なら、オリジナルのデザインを柔軟に再現してくれるでしょう。
まとめ
陶器の口線加工についてご紹介しました。口線加工は職人の技術が求められる、伝統的な技法です。そして手作業で行なう技法だからこそ、バリエーション豊かなデザインを表現することができます。
他で目にしたことがないような、唯一無二の陶器制作をしたいという方におすすめの技法です。
ファースト・スティングではそんな口線加工を用いた陶器制作に対応しています。ご自身のオリジナルデザインをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
オリジナリティあふれる、世界に1つだけの陶器作りを応援いたします。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
私たちは普段の生活の中で、さまざまな陶器を利用しています。
例えばマグカップやお皿など、陶器にはさまざまな種類があります。
そして、陶器はカラーリングも実にバリエーション豊かです。
ベーシックな白いマグカップから、高級感のある黒いお皿まで、シーンに応じて、あらゆる色の陶器が活躍しています。
また最近では、自分だけのオリジナルマグカップやお皿を気軽に作ることもできます。
せっかくオリジナル陶器を作るなら、自分好みの色にしたいですよね。
実はマグカップやお皿をカラーリングするには、「釉薬」というアイテムが欠かせません。
そこでこの記事では、そんな「釉薬」に焦点を当ててマグカップやお皿のカラーリングについて詳しくご紹介します。
釉薬の役割や作り方、釉薬でできる多彩な表現をぜひご覧ください。
陶器の色付けに必要な釉薬
釉薬とは
釉薬は訓読みで「うわぐすり」、または音読みで「ゆうやく」と読みます。
では、そもそもこの釉薬とは何なのでしょうか。
釉薬は、「素焼き」後の陶器の表面をコーティングするための液体状の薬品です。
素焼きが終わった後、釉薬を陶器全体にかけ、1,200℃~1,250℃で「本焼き」を行ないます。
すると釉薬が陶器の表面全体を覆うように固まり、陶器の表面がコーティングされるのです。
元々、陶器は土を原料に形作られています。
成分調整した専用の土を成形し、それを800℃前後の窯で焼き上げます。
この工程を「素焼き」と呼びます。
ちなみに800℃前後で焼き上げた後に、釉薬をかけずにそのまま本焼きの温度まで上げて焼成し販売される焼き物も少なくありません。
備前焼などといった焼き物は、釉薬を使わないことでも有名です。
しかし私たちが飲食用で利用するお皿やマグカップなどの陶器は、素焼きを終えた後に釉薬をかけることが一般的です。
この理由については次の項目で詳しくご説明します。
釉薬の役割について
釉薬は飲食用の陶器にとって必要不可欠な存在ともいえます。
釉薬には以下のような役割があります。
陶器の表面に汚れを付きにくくする
釉薬をかける前の陶器は、土特有のザラザラとした質感があります。
この質感を味わいとして残すために、あえて釉薬をかけずに販売される焼き物も少なくありません。
しかし飲食用の陶器を作る場合、表面がザラザラしていると汚れが付きやすく落ちにくいというデメリットがあります。
汚れが表面に付いてしまうと、そこがカビや雑菌の温床になってしまいかねません。
また食べ物や飲み物の色が、陶器に沈着してしまうことも懸念されます。
そこで利用されるのが釉薬です。
釉薬をかけると、陶器の表面がコーティングされます。
これにより、土がむき出しになっている状態よりも簡単に洗浄できます。
汚れを落ちやすくすることで、長く清潔に使うことができるというメリットがあります。
食の安全性を高める
釉薬は陶器の安全性を高めるためにも利用されます。
素焼きをしたままの状態では、焼き物としての強度は不十分です。
もちろん、観賞用の焼き物なら欠けても食の安全性には何の問題もありません。
基本的に素焼きの状態のものを食器として使用することはありませんが、土が欠けやすいということは誤飲のリスクがあり、これでは利用者の危険につながります。
そこで素焼きの後に釉薬をかけ、陶器全体をコーティングすることで、強度のある焼き物が出来上がります。
ちなみに釉薬は本焼きを終えると、しっかりと固まるので土のようにもろく崩れることもなく、安全性の担保につながります。
さらに飲食で利用する陶器には、日本では食品衛生法において鉛やカドミウムの溶出基準値が定められています。
飲食に用いられる陶器はこの溶出基準値をクリアする義務があります。
国産の陶器に使用される釉薬にはこの基準値を遵守したものが使用されているので安心です。
土が水を吸わないようにする
陶器の素材である土には小さな穴が開いており、そこから水を吸う性質があります。
素焼きのままの陶器に水を注げば、土に少しずつ水がしみ込んでいくでしょう。
例えばこれが、コーヒーを注ぐマグカップだとしたらどうでしょうか。
マグカップがコーヒーを吸ってしまうことになります。
釉薬はこうした土の穴をふさぎ、吸水性を無くす役割も担っているのです。
ちなみに釉薬はガラスを主成分とする素材なので、吸水性はありません。
陶器の耐久性を上げる
釉薬で陶器をコーティングすることにより、陶器自体の耐久性が上がります。
釉薬をかけることで土特有のもろさや吸水性がカバーされ、長く丈夫に使える陶器を仕上げることができます。
もちろん釉薬をかけたからといって、陶器が割れなくなる訳ではありません。
しかし素焼きのままの状態と比べると、釉薬をかけることで表面がガラスのように強くなり、破損や欠損のリスクも低くなります。
陶器に色を付ける
釉薬は陶器をカラーリングする役割も担っています。
陶器で色を出す方法は、2種類あります。
1つは透明の釉薬を使って、土そのものの色をそのまま表現するという方法です。
そしてもう1つは、釉薬で陶器をカラーリングする方法です。
後者の場合、釉薬に金属成分などを混ぜることで赤や青といった色を表現することができます。
この際、元々の土の色は釉薬に覆われることとなり表現されません。
釉薬で表現できる陶器の色については、後ほどまた詳しくご紹介します。
陶器の質感を表現する
釉薬を利用して、陶器の質感を変えることもできます。
釉薬はツヤツヤとして質感を表現できるほか、ツヤの消えたマットな質感も表現可能です。
質感を変えると、陶器の印象はガラッと変わります。
自分だけのこだわりの陶器を作りたいという方にとって、釉薬の持つ表現の奥深さは必見です。
釉薬の成分
釉薬は、主にガラス成分でできています。
中でも、ガラスの原材料の一部として使われる「長石(ちょうせき)」の含有割合が最も多く、全体の4~6割を占めています。
そして次に多いのがガラスの主成分である「珪石(けいせき)」と呼ばれる成分です。
珪石は、全体の約2~3割を占めています。
またこれらに加えて、釉薬には「石灰(せっかい)」や「亜鉛華(あえんか)」などを混ぜます。
「石灰(せっかい)」や「亜鉛華(あえんか)」を「長石」「珪石」と一緒に攪拌すると、ドロドロとした液状になります。
このおかげで、陶器をムラなくコーティングすることができます。
ちなみに釉薬で陶器をカラーリングする場合は、釉薬に金属成分を主原料とした色素を混ぜます。
例えば「コバルト」や「クロム」「ニッケル」といった金属成分です。
このような金属成分を調合し、釉薬に混ぜることで美しくカラーリングすることができます。
釉薬が出来るまで
では続いて、釉薬がどのように作られるのか見ていきましょう。
釉薬の作り方は以下の通りです。
①「長石」「珪石」「金属(必要に応じて)」を固形から粉末状に加工する
②攪拌専用のマシンで「①の粉末」と「水」「石灰」「亜鉛華」等を混ぜ合わせる
このように、釉薬の作り方はいたってシンプルです。
まず原材料を全て粉末状に加工し、その後水と一緒に攪拌専用のマシンで混ぜ合わせるだけ。
石灰や亜鉛華は元々粉末状なので、加工する手間がありません。
ちなみに、「長石」「珪石」をはじめ、すべての原料はいずれも水には溶けません。
つまり攪拌専用のマシンを使っても水に溶けてしまうことはなく、粉末が内部で攪拌されるだけです。
時間を置くと「長石」「珪石」などの原料と水は分離し、原料は沈殿してしまいます。
そのため釉薬は、使用する前に再度攪拌し、濁った状態で使用します。
釉薬を使って表現できるもの
赤・青など、カラフルな陶器
先ほどご説明した通り、釉薬を使って陶器をカラーリングする場合、釉薬には金属成分を配合します。
金属の配合によって表現できる色が決まっており、金属の調合によって微妙な色合いの違いを表現することができます。
金属成分を配合した釉薬の中でも、特に銅を配合した「織部釉・緑釉(りょくゆう)」や、鉄を加えた「青磁釉」、「飴釉」などは非常に歴史が長く有名です。
「織部釉・緑釉(りょくゆう)」は緑や青緑色の風合いが美しく、千利休の弟子である古田織部が茶器として用いたことがきっかけで普及しました。
「青磁釉」は中国発祥の釉薬で、深みのある落ち着いた青色が特徴です。
「飴釉」は「青磁釉」と同じ鉄を配合した釉薬でありながら、あたたかみのある美しい飴色が表現されます。
このように、釉薬を使ったカラーリングには長い歴史があります。
現代では釉薬のカラーバリエーションもさらに増え、ビビットな赤やネイビー、オレンジなど様々な色の陶器を作ることができます。
ちなみに釉薬は1,200℃~1,250℃の本焼きを経て、初めて美しい色合いが表現されます。
つまり焼きあがるまでは、陶器の色がどうなるか分かりません。
それを絶妙な金属成分の配合で見極め、出したい色を表現するのが職人の技といえます。
土の色を見せる透明釉
土の色をそのまま陶器に活かしたい場合、「透明釉」という釉薬を用います。
この釉薬には金属成分が一切入っておらず、その名の通り透明です。
例えば白さの高い土を用いて成形・素焼きを行い、透明釉をかければ土本来の美しい白さがそのまま表現できます。
この場合色の純度(白度)が低い土を使うと、白さがくすんでしまったり、グレーがかったりしてしまう可能性があります。
つまり土の色の純度が高ければ高いほど、透明釉で素材の良さを引き出せるということです。
もちろん白さを表現できる釉薬を使えば、グレーの土を真っ白な陶器に仕上げることも可能です。
さらに透明釉なら素焼きに直に絵付をし、その上からかけることも可能です。
透明なので、プリントされた柄が透明釉を通して見ることができます。(この手法を「下絵付」と呼びます)
ツヤのないマットな色も釉薬で再現
釉薬は主にガラス成分でできているので、1,200度~1,250度の本焼きをすると一度溶けたガラス成分が再び固まり、艶やかでツルツルとした質感になります。
一方、マットな質感を再現するためには、「マット調専用の釉薬」を用います。
マット調の釉薬は、一般的な1,200度~1,250度の本焼きをしてもガラス成分が完全に溶け切りません。
そのため釉薬の中に、溶け切らなかったガラス成分がそのまま残ります。
このガラス成分のおかげで、ツヤが消えたようなマットな質感が再現できるのです。
もちろん、安全性や耐久性は通常の釉薬と変わりません。
ただしマット調の釉薬を用いた陶器は、表面がザラつきます。
そのため一般的な釉薬を用いた陶器よりも、長期間使うと汚れてしまいやすいという特徴があるため注意が必要です。
まとめ
マグカップやお皿のカラーリングについてご紹介しました。
釉薬は陶器の安全性や耐久性を高めるだけでなく、好みのデザインを表現するためにも必要な素材です。
ファースト・スティングでは、釉薬を使って表現できるカラーを常時100種類展開しております。
もちろん、ご希望のカラーを調合することも可能です。
また透明釉でも真っ白で美しいお皿が作れるように、純度(白度)の高い土をご用意しております。
このように弊社は土からカラーリングまで、とことんこだわってオリジナル陶器の制作に対応いたします。
自分だけのオリジナル陶器制作を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
理想どおりのデザインを表現できるよう、陶器のプロがサポートいたします。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
陶器には色々な種類があります。
陶器はマグカップやプレートなどの食器をはじめ、ペン立てや花瓶などといったインテリアに使われることもしばしば。陶器はあらゆる場面で私たちの生活に関わっています。
このように私たちにとってありふれた陶器ですが、実はその作り方は様々です。例えば土を使って陶器を形作る「成形」という段階には、複数の作り方があります。あらゆる作り方が、陶器の形や特徴に応じて使い分けられているのです。
そこで今回は、意外と知られていない陶器の成形方法について詳しくご紹介していきます。
陶器について興味のある方、オリジナル陶器の制作を検討している方は必見です。ぜひご参考にしてください。
マグカップやプレートの制作方法について
成形方法には大きく分けて2種類
陶器の成形方法は、大きく以下の2種類に分けられます。
動力成形(どうりょくせいけい)
鋳込み成形(いこみせいけい)
1つは動力成形と呼ばれる作り方です。この作り方は別名、ローラーマシン成形とも呼ばれます。そしてもう1つは鋳込み成形という作り方です。陶器を量産する際の成形は、基本的にこれら2種類の作り方を用います。
いずれの成形方法でも、陶器を作るには型が必要です。成形に使う型は「石膏型」と呼ばれ、「石膏」という素材が用いられています。
石膏とはCaSO4・2H2O、結晶水を含む硫酸カルシウムを含む素材です。ちなみに成形をするにあたり、作られる石膏型は完成品よりも大きく作られます。これは焼成の工程を経て、土が10%~15%縮むことが考慮されているからです。
「動力成形」について
動力成形は一般的に、ローラーマシンという機械を使います。動力成形の場合、石膏型を設置して土を機械に投入しさえすれば、あとの成形は全自動です。
機械には複数の石膏型を設置することができ、一度にたくさんの陶器を成形することができます。そのため多くの陶器を一度に作るのに適しており、生産効率の高い作り方といえます。
では動力成形で陶器を制作する手順を見ていきましょう。①陶器の形に合った石膏型を用意し、ローラーマシンに設置する。
②土練機に通して真空状態にした土をローラーマシンに流す。
③ローラーマシンが自動で土を適量にカットし、石膏型の中に配置する。
④上から金属製のコテが降りてくる。
⑤ローラーマシンは常に回転しており、コテを使って順番に成形する。
⑥石膏型から外し、乾燥させて完成!
動力成形の場合、硬度の高い粘土質の土を用います。この土を石膏型とコテで成形するという作り方です。
また動力成形で陶器を制作すると、基本的に片側が真円状になったものが仕上がります。なぜなら成形する際、ろくろのように回転させながら作っているからです。回転させるうちに角や歪みが取れ、丸い飲み口のマグカップやそこが真円状のプレートが仕上がります。
そのため動力成形では、四角など角張った陶器を作ることはできません。
ただし外側に模様を付けたり少々削れた形にする場合は、石膏型の彫り込みで再現できるものもあります。
「内ゴテ」「外ゴテ」の2種類の動力成形
動力成形は「内ゴテ」と「外ゴテ」という2種類の作り方に分けることができます。
それぞれの特徴や成形方法について見ていきましょう。
内ゴテを用いた動力成形による作り方は以下の通りです。①ローラーマシンが石膏型の中に、土練機に通して真空状態にした土を適量にカットし、セットする。
②石膏型の内側に、棒状で金属製の「コテ」と呼ばれるものが降りてくる。
③コテが高速回転しながら土を押し込み、陶器の内側が円形に成形される。
④石膏型から外し、乾燥させて成形完成!
つまり内ゴテは文字通り、金属製のコテが石膏の内側に当てられます。例えるならろくろを用いる時の外側の手が石膏型、内側の手がコテといったイメージです。
外ゴテを用いた動力成形による作り方は以下の通りです。①ローラーマシンが石膏型の上に、土練機に通して真空状態にした土を適量にカットし、セットする。
②その上から円盤のように大きな金属製のコテが降りてくる。
③石膏型を覆い込むように、コテが土をプレスする。
④回転しながらコテが形を整え、陶器が円形に成形される。
⑤石膏型から外し、乾燥させて成形完成!
外ゴテの場合は、コテが石膏型を覆うように大きいのが特徴です。内ゴテはコテが陶器の内側を成形していました。
それに対し、外ゴテの場合はコテが陶器の外側を成形します。つまり、外ゴテで成形する場合、陶器は上下逆さまの状態です。陶器の内側を石膏、外側をコテが成形するという仕組みになっています。
「鋳込み成形」について
鋳込み成形という作り方について見ていきましょう。鋳込み成形もまた、以下の2種類に分類することができます。
圧力鋳込み
ガバ鋳込み
鋳込み成形を用いると、動力成形では作れない四角や楕円形の陶器が作れます。
鋳込み成形はろくろのような、回転をかけながら成形する方法を用いません。
そのため左右非対称の陶器や角張った陶器など、あらゆる陶器を制作することができます。
「圧力鋳込み」「ガバ鋳込み」の2種類の鋳込み成形
圧力鋳込みについて詳しくご説明します。圧力鋳込みは、動力成型で作れないような変形型のものを作れる成型方法です。
ちなみにこの作り方では、2つの石膏型を用います。1つは陶器の外側を覆う石膏型で、もう1つは陶器の内側にあたる部分を覆う石膏型です。このように圧力鋳込みの石膏型には凸と凹の型があり、陶器業界ではオス型メス型と呼ぶこともあります。
圧力鋳込みを用いた鋳込み成形の手順は以下の通りです。①動力成形でも使用する土に水分を多く含ませ液状の泥のような状態にする。
②対になる凹凸の石膏型を複数用意し、泥の入ったタンクと繋がった場所に積み上げる。
③①で作った泥を、積みあがった石膏型の下から一定の圧力をかけて流し込む。
※圧力をかけて泥を流し込むのは、石膏型の隙間が器の形をしており、その隙間に泥が完全に入り込むようにするため。
④泥の水分が石膏に吸収されて水分が抜けた土に変わるまで、一定時間置く。
⑤2つの石膏型を開き、その中に成形された器に空気をかけながら型から外す。
⑥完全に乾燥させて完成!
圧力鋳込みの特徴は、石膏型の隙間に下から泥を流し込むという点です。流し込む際は一定の圧力をかけながら、蛇口をひねったように一気に流し込みます。
このとき使うのは粘土質の土ではなく、水のような泥です。さらさらとした泥をつかうことで、石膏型の中に隙間なく流れ込ませることができます。
また、圧力鋳込みは石膏型の吸水性をたくみに利用した作り方です。流し込むときはさらさらとしていた泥も、時間が経つにつれて水分を吸われ、ほどよい土へと変化していきます。
続いてガバ鋳込みについてご説明します。
ガバ鋳込みは、ティーポットやとっくりなど、袋状の形で内側が空洞の陶器を作る際に用います。小さな入り口と、内側に空洞があることがガバ鋳込みで作る陶器の特徴です。
例えば貯金箱なども、ガバ鋳込みで成形することができます。日本の伝統工芸、だるまも同様です。
ではガバ鋳込みを用いた鋳込み成形の手順を見ていきましょう。
①陶器を包み込むような形の石膏型を作る。
②石膏型の中に水分含有量の高い泥を流し込む。
③時間が経つと石膏型が泥の水分を吸い、外側より固まり始める。
④外側が固まり、十分な厚みが出たら石膏型の中にある泥を捨てる。
⑤一定時間経ったところで、複数で構成されている石膏型を分解し器を取り出す。
⑥時間をかけて乾燥させ、完成!
ガバ鋳込みの作り方の特徴は、石膏型は外側を成形するものしかないという点です。圧力鋳込みの場合は、陶器の内側と外側を成形する石膏型が対になっていました。
一方、ガバ鋳込みで使うのは陶器の外側を成形するもののみです。つまり内側を成形する石膏型がありません。作り方を見ると分かるように、内側は自然に成形されます。
外側から石膏型が水を吸い、泥が土へと変わる原理をたくみに利用した作り方です。丁度よいタイミングで上下を反転させ、中の泥を抜くことで袋状の形が作れます。この、「ガバっと」泥を抜く作業から、ガバ鋳込みという名がついたのだとか。
また、ガバ鋳込みの場合は石膏型そのものが袋状になっており、乾燥後はそのまま型から抜き取ることができません。そのため石膏型は複数のパーツで構成されており、成形された土を石膏型から抜くときは、複数の石膏型を割って取り出すのも特徴です。ちなみに、このように複数のパーツの石膏型で構成されているものを「割型」と呼びます。
実際のマグカップやプレートの成形について
動力成形で作る陶器
動力成形を用いると、コテが入る部分が円状になっている陶器が作れます。例えば飲み口の丸いマグカップや、円形のお皿などです。内ゴテの動力成形の場合は陶器の内側に一切角が無く、外ゴテの動力成形の場合は陶器の外側が円状になった陶器を作れるのが特徴といえます。これはコテを回転させながら作るという作り方によるものです。回転させると角のない、上下左右対称になった形状が完成します。
ちなみに内ゴテの動力成形の場合、陶器の外側は完全な円でなくても問題ありません。外側は石膏型のデザイン次第で、その風合いを変えることができます。例えば外側を手びねりのような風合いに仕上げることも可能です。こういった陶器は一見では圧力鋳込みで作られたもののように見えることもあります。
しかし陶器の内側がきれいな円状だった場合は、多くの場合動力成形で作られています。また内側は真円でありながら、外側はゴツゴツとした六角形の陶器を作ることもできます。
圧力鋳込みで作る陶器
圧力鋳込みは、対になる凹凸の石膏型で成形する作り方です。つまり石膏型次第で、あらゆる形の陶器を作ることができます。例えば丸い石膏型を用いれば、真円のお皿を作ることも可能です。
それだけでなく、楕円形のカレー皿のような陶器も作ることができます。そのほかにも、焼き魚を乗せる長方形のお皿や真四角の小皿なども圧力鋳込みで作られています。
動力成形で作った陶器は内側が必ず真円になるのに対し、圧力鋳込みで作った陶器は必ずしも真円にならないのが特徴です。
また、圧力鋳込みはさまざまな形の陶器が作れる反面、動力成形よりも量産効率が劣ってしまいます。
ガバ鋳込みで作る陶器
ガバ鋳込みは、外側の形状のみの石膏型を用いる作り方です。陶器の内側を成形する石膏型がいらないため、中が空洞で袋状になっている陶器を作ることができます。例えばティーポットやとっくり、シャンプーの容器などといったものです。
ガバ鋳込みで作られる陶器は中が空洞であれば、外側が必ずしも丸いものとは限りません。
例えば先ほど例にあげたシャンプーの容器は、四角いボトル型を連想する人もいるでしょう。ガバ鋳込みもその点では圧力鋳込みと同様、四角い陶器も作れるのです。
中が空洞で袋状であれば楕円型でも角型でも、成形上問題ありません。石膏型の形状に応じて、いろいろな袋状の陶器を成形することができます。
ちなみにティーポットは、袋状の本体に加えてお茶の注ぎ口がついています。
これは成形の段階から本体と一体で作ることもあれば、別で成形して後からつける場合もあります。
まとめ
陶器の成形方法についてご紹介しました。陶器にはあらゆる成形方法があり、陶器の形状によって使い分けられています。
これらは全て伝統的な日本の技術であり、現在も受け継がれている陶器の作り方です。ファースト・スティングではこうした作り方を駆使し、あらゆる陶器の制作に対応しています。また形だけでなく、陶器の素材やカラーにもこだわった1点ものを作り上げることが可能です。
こだわりのあるオリジナル食器などを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談下さい。柄やロゴの印刷にも柔軟に対応いたします。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
皆さんは、柄が凹んでいる陶器を見たことがあるでしょうか。デザインを凹凸で表現出来る手法、それを「撥水絵付」と呼びます。
撥水絵付はエンボスデザインとも呼ばれる手法です。光の当たり方による陰影も手伝って、味わい深く温かみのある、エンボス調のデザインが楽しめます。
今回はこの「撥水絵付」の方法や、特徴、他の手法との違いについて詳しくご紹介しています。一般には知名度の低い撥水絵付ですが、実は魅力がたくさん。
世界に1つのオリジナルマグカップを作ろうとお考えの方は、必見です。
撥水絵付でオリジナルのマグカップを作る方法
撥水絵付とは?
撥水絵付とは「下絵付」とよばれる、陶器における絵付方法の1つです。「エンボスデザイン」とも呼ばれます。撥水絵付をすると、柄や模様の印刷面がくぼんだ状態になります。
まるで陶器に刻印をしたようなエンボス調の風合いが撥水絵付の特徴。オリジナルマグカップの制作などによく使われる手法です。エンボスデザインは指で触ると模様やロゴの形が凹んでいるのが確認できます。
表面に凹凸があるので、光の当たり方によって模様に陰影が付くのも魅力の1つ。印刷されたデザインや文字は、マットな風合いになります。
このようなエンボスデザインには、撥水剤を混ぜた下絵の具を利用します。紙に油性のクレヨンで絵を描いた後に水彩絵の具で色を塗ると、クレヨンで描いた絵は水を弾きます。撥水絵付はこれと同じ原理を利用した手法なのです。
つまり、「油性のインク」と「水性の釉薬」との関係をうまく利用した絵付の手法といえます。色の組み合わせは自由度が高く、下地も印刷部分のカラーも豊富なバリエーションの中から選ぶことが出来ます。そのため、あらゆるオリジナルデザインにも対応可能です。
撥水絵付は、個性的なオリジナルマグカップを作るのにおすすめの手法といえます。
撥水絵付での制作工程とは?
撥水絵付の制作工程は以下の通りです。
①800℃で陶器を焼き上げる(素焼き)
②撥水性のある「呉須」というインクで絵付をする
③印刷の上から釉薬を施す(施釉)
④1,200℃~1,300℃の本窯で焼き上げる(本焼き)
⑤完成!
撥水絵付は、素焼きの陶器に釉薬を施す前に印刷を行うのが特徴です。このように釉薬の下の層に印刷を施す手法を、「下絵付」と呼びます。
これに対して、施釉(せゆう)した上から絵付する「上絵付」という手法があります。
撥水絵付において使用されるインクは、「呉須」というもの。これは撥水剤を混ぜたインクです。つまり焼き上げる前は「油性」の性質を持ちます。
そのため上から施釉しても、水性の釉薬を弾いて模様を浮き出させることが出来るのです。これが撥水絵付の最大の特徴といえるでしょう。この手法により、独特なエンボス調のデザインが演出出来ます。
ただし1,200℃〜1,300℃の窯で本焼きを行えば、水も油も焼け飛びます。そのため最終的には「油性」「水性」といった性質は無くなり、安全な陶器として仕上がります。
転写絵付との違いについて
他の絵付方法の一つとして、「転写絵付(てんしゃえつけ)」が挙げられます。この転写絵付と撥水絵付の違いは、「絵付のタイミング」です。
撥水絵付は施釉の前に、素焼きされた陶器の表面に直接絵付をします。これは釉薬の下側に印刷が施される「下絵付」と呼ばれる手法です。
一方、転写絵付の場合は施釉の後に1,200〜1,300℃の窯で本焼成し、一旦無地の陶器として焼き上げます。その後焼き上げた陶器の上に印刷を行います。これは焼きあがった陶器の釉薬の上から印刷を施す「上絵付」と呼ばれる手法です。
つまり素焼きの後(施釉前)に印刷するか、施釉後に印刷するかが、2種類の手法における大きな違いといえます。
手法についてさらに細かく見て行きましょう。撥水絵付は、油性の呉須が釉薬を弾く性質を利用した手法です。そのため仕上がりは、その時々で微妙な個体差が出ます。よく言えば「味わい」です。
これは呉須と釉薬の相性・温度による弾き具合・陶器の収縮具合によるもの。あまりに細い線を印刷しようとすると釉薬を弾ききれず、線の上にわずかに釉薬の色が乗ってしまう場合も。
逆に釉薬が乗るべき場所に乗らず、微妙に素焼きの地色が出てしまうこともあります。ただし全く違うものが仕上がってしまうわけではなく、味わいの範囲の中の個体差です。またこうした個体差もデザインを工夫することで、ある程度目立たないようにすることも出来ます。
このように撥水絵付は量産したとしても、それぞれを1点ものとして楽しめます。
一方転写絵付の場合は、本焼きの後に印刷をします。その際、色ごとに分けて「版」を制作します。版で刷ったデザインは転写紙という紙に印刷されます。この手法はシルク印刷というものです。
そしてその転写紙を陶器に貼り付け、約800℃の絵付窯で柄を焼き付けます。転写絵付は版を用いて一旦転写紙に精密に印刷されたものを絵付するため、量産すると同じものが大量に仕上がります。
つまり転写絵付は個々の仕上がりに個体差が少ない手法なのです。さらに撥水絵付と異なり、細かな印刷も可能。0.2ミリ単位の細さの線をクッキリと印刷することも出来ます。
当然、手法が異なれば陶器の仕上がりも異なります。撥水絵付は先ほどご紹介した通り、印刷部分が釉薬を弾いているので印刷面が凹みます。指で触って分かるくらいの凹凸があり、エンボス調の仕上がりです。
これがエンボスデザインと呼ばれる所以です。撥水絵付は色と凹凸の両方を用いて、柄を表現できるという特徴があります。
さらに撥水絵付は量産すると個々に微妙な違いがあらわれます。個性の光るオリジナルデザインを追求したい方におすすめです。
一方、転写絵付の印刷面は平面です。指で触っても撥水絵付のような凹凸はありません。印刷部分の色と、背景となる色のコントラストで柄を表現します。
さらに細かい印刷も施すことが可能で、個々に仕上がりの差がありません。全く同じものを綺麗な仕上がりで量産したい方におすすめの印刷方法といえます。
飲食店やOEMのオリジナルマグカップ制作などの場合は、こだわるポイントに合わせて撥水絵付(エンボスデザイン)と転写絵付(フラットデザイン)を使い分けるのがオススメです。
撥水絵付に対応している制作会社は少ない
撥水絵付は誰でも出来る手法ではありません。陶器業界内ではメジャーな手法ではあるものの、陶器の扱いに精通している専門の会社でないと難しい手法です。
そのため撥水絵付に対応している制作会社は、少ない傾向にあります。
オリジナルデザインのマグカップ制作会社を検索すると、たくさんの企業が出てきます。しかし、これら全てが陶磁器に精通した専門家のいる会社とは限りません。
陶器の印刷方法の中には、陶磁器の専門的な技術を必要としない「昇華プリント」というものもあります。一般向けのオリジナル陶器制作で検索結果に出てくるものは、大半がこの昇華プリントを用いたものです。
昇華プリントは「昇華プリンター」という機械があれば、簡単に陶器に印刷が出来ます。ある程度のデザインの精度や再現度はあるものの、陶器に関する専門性は必要ありません。
どちらかといえば、Tシャツやスマホケースなどのオリジナルプリントを行っている会社が、昇華プリントのマグカップを一緒に提供していることが多いようです。
こうした理由から、撥水絵付に対応しているオリジナルマグカップの制作会社そのものが少ない傾向にあり、一般的にはあまり知られていない絵付の手法ともいえます。
よりこだわりぬいた撥水絵付のマグカップを作るために
ロゴのようなシンプルなデザインがオススメ
撥水絵付でオリジナルデザインを制作するなら「大きくロゴだけ」、といったシンプルなデザインがおすすめです。
というのも撥水絵付は、印刷にわずかな個体差が出ます。これは撥水絵付そのものが、呉須の撥水性という自然な性質に委ねられた手法だからです。
細かすぎる印刷をすると、デザインによっては柄が消えてしまったりすることもあるのです。
一方、太く大きな文字で描いたロゴなら、わずかに輪郭がぶれても個々の差が目立ちません。さらに大きなロゴなら文字そのものがつぶれることはなく、メッセージ性そのものに支障はありません。
またロゴでなくても、大きめの柄やシンプルな柄なら綺麗に仕上がる傾向にあります。
細かいデザインを再現したい時は白のマグカップ
撥水絵付では、細かいデザインが一切出来ないわけではありません。撥水絵付でオリジナルマグカップを制作する際、元々の色が白いマグカップを使用すれば細かいデザインも表現可能です。
白いマグカップといっても、白い釉薬を施したものではありません。元々の土が白く、施釉しなくても白く焼きあがるマグカップを用います。
素焼きを終えた白いマグカップに、呉須で印刷をします。その際、釉薬は透明なものを使用。これによりマグカップの表面に見える色は、元々の土の白い色と印刷の色のみになります。
この手法なら釉薬が透明なので、乗り具合や弾き具合の誤差で印刷が左右されることはありません。
細かいオリジナルデザインも、しっかりと表現することが可能です。
カラーのマグカップに撥水絵付をする時の注意点
濃い色のマグカップに、薄い色の印刷をする場合は注意が必要です。というのも細かいデザインであればあるほど、印刷のブレが目立ちやすくなってしまいます。
例えば、黒の釉薬に白い文字を入れたいとします。その場合、白い部分には釉薬が乗らないようにしなければいけません。しかし文字自体が細すぎると、意図せず黒い釉薬が乗ってしまい、字が途切れてしまうことも。
逆も然りです。文字の周囲に白で印刷を施し、釉薬の色を文字ロゴとして黒抜きにする場合を想定してみましょう。ロゴがあまりに細いと、抜いたはずの部分に釉薬が乗らない可能性もあります。すると文字は撥水した白背景と同化し、何が描いてあるのか分からない状態にもなりかねません。
また、細い部分に黒い釉薬が乗りすぎて本来撥水の白で表現したい部分にはみ出してしまい、黒い溜まりのような症状になることもあります。
そのためこうした配色の場合は、粗が目立ちにくくなるように印刷を太く大きくするのがおすすめです。また、配色を変えてこうした印刷における誤差を目立ちにくくすることもあります。
マグカップの色と撥水絵付の色を同系色にすると?
ではマグカップの色と撥水絵付の色を同系色にするとどうなるのでしょうか。撥水絵付の場合、同系色同士のデザインは印刷の誤差や粗を目立ちにくくしてくれます。
例えばライトブルーのマグカップに紺色の文字を印刷したい場合は、比較的細かいデザインでも違和感なく表現できる場合が多いでしょう。
さらにマグカップの背景と印刷に同じ色を使うことで、印刷を凹凸のみで表現することが出来ます。つまり完成品はマグカップのそのものの色にプレスを加えて、空押しをしたような状態です。色は背景と同化しても、凹凸があるのでデザインはしっかりと表現できます。
印刷がよく目立つわけではありませんが、お洒落で非常に味わいのあるオリジナルマグカップに仕上がるのが特徴です。
これが転写絵付や昇華プリントになると、文字も背景も同化してしまいがち。同系色の組み合わせでもオリジナルマグカップが制作できるのは、撥水絵付の強みといえるでしょう。
まとめ
撥水絵付の方法や特徴についてご紹介しました。あまり知られてない手法ですが、個性的なオリジナルデザインを表現するのにはうってつけの方法といえるでしょう。
1つ1つの陶器の個性を大切にしたい方や、オリジナリティと温かみのあるオリジナルマグカップを制作したいという方におすすめです。
弊社では、この撥水絵付での印刷にも対応しております。よりお客さまのイメージに近いものが出来るよう、デザインや配色などにもアドバイスさせていただきます。
さらにマグカップの形状も1からオーダーメイドが可能。弊社では土から陶器を成型しているので、あらゆる形状の陶器でオリジナルグッズを制作することが出来ます。
お好きな形の陶器に、自分だけのオリジナルデザイン。カラーも豊富に展開しておりますので、お気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
近頃、誰でも簡単にオリジナルのマグカップがデザイン出来るようになってきました。
しかしオリジナルマグカップの注文サイトなどを見てみると、作れるのは白い色のマグカップがほとんどです。
白地にロゴなどを付けるのもお洒落ですが、せっかくオリジナルマグカップを作るなら、下地となる色の選択肢も多い方がいいです。
グリーンや紺、オレンジなど、マグカップそのものの色を選べれば、よりデザインの幅も広がります。
とりわけ、黒をベースとしたオリジナルマグカップを制作できる企業は少ない傾向にあります。これは何故なのでしょうか。
そこで今回は、黒いオリジナルマグカップの制作方法についてご紹介します。基本となる印刷方法から、黒だからこそ必要な制作過程まで、一般的にはあまり知られていない制作の事情を徹底解説していきます。
黒いマグカップでオリジナルのマグカップを作る方法
転写絵付とは?
黒いマグカップにオリジナルデザインを施す場合、通常は転写絵付という方法でロゴや柄を印刷します。
では転写絵付とはどのような印刷方法なのか、その手順から見ていきましょう。
①無地の黒いマグカップを焼き上げる
②柄に対応した版を作成する
③②の版を用い、色ごとに転写紙に柄を刷る(シルク印刷という手法)
④焼き上げた無地のマグカップに、③の転写紙を貼り付ける
⑤800℃の絵付窯で数時間焼き上げ、転写紙の柄をマグカップに焼き付ける
⑥完成!(印刷面は平面に仕上がる)
転写絵付はこのような手順で行われます。
大きな特徴は「版」が必要であるという点。1つのマグカップを制作するにしても、印刷には必ず版の制作が必要となります。
こうした手間を必要とする反面、版さえ作ればあらゆる陶器の形・カラーに対応出来るのが転写絵付の魅力です。
また転写絵付による印刷は、耐久性・耐熱性にすぐれています。転写絵付では、高温で転写紙を焼き付けます。
その結果陶器と印刷はぴったりと密着し、剥がれたり色落ちしたりすることはまずありません。食器洗浄機に入れ洗っても問題ないでしょう。
また焼き上げ時の温度は約800℃。そのため転写絵付で印刷したマグカップは、200℃〜300℃の家庭用オーブンに入れても何ら問題ありません。
このように転写絵付はあらゆる色、形の陶器に印刷ができるだけでなく、耐久性にも優れた印刷方法なのです。
黒いマグカップに昇華プリントすると?
実は、陶器への印刷方法は転写絵付だけではありません。近年普及している「昇華プリント」という印刷方法もあります。
しかし、昇華プリントは黒いマグカップに印刷が出来ません。
黒いマグカップに昇華プリントを施すと、柄が下の黒と同化して何も見えない状態になってしまいます。
これは何故でしょうか。その理由についてご説明します。まず昇華プリントの印刷手順を見ていきましょう。
①無地のマグカップを焼き上げる
②焼き上げた無地のマグカップの表面にポリエステルを塗布する
③昇華プリンターを使用し、転写紙に昇華インクを反転印刷する
④表面のポリエステルに押し当てるように②の転写紙を重ねる
⑤加熱・加圧する
⑥完成!(印刷面は平面に仕上がる)
昇華プリントと先ほどご紹介した転写絵付との違いは、大きく2つあります。
1つは「版の有無」です。昇華プリントの場合は版を使いません。その代わりに転写紙への印刷を、昇華プリンターという機械で行います。
これが黒いマグカップに印刷が出来ない直接的な理由です。例えば家庭用プリンターで黒い紙に写真を印刷したらどうなるでしょうか。おそらく背景と写真が同化してしまい、何も見えない状態になるでしょう。
昇華プリントも同じ理由で、黒いマグカップにくっきりと印刷することが出来ません。印刷出来ないというよりは、「印刷は出来るものの、下地の黒に柄が同化してしまう」という状態です。これでは印刷の意味がありませんね。
黒い色の上でもしっかりと柄の色を出せるのは、転写絵付ならではの魅力といえます。
もう1つは昇華プリントの場合、表面に「ポリエステル」を塗布しているという点です。転写絵付では陶器そのものに印刷を施します。
元々昇華プリントは繊維業界で誕生した印刷方法で、ポリエステルにしか印刷出来ないという特徴があります。そのため陶器の表面にポリエステルを塗布し、そこへインクを染みこませます。
現在、業務用として流通しているポリエステルを施した昇華プリント用のマグカップは、外側は白いものばかり。つまりそもそも市場に黒地にポリエステルを施したマグカップ自体が、流通していないのです。それもそのはず、黒地に昇華プリントしても何も見えないのですから。
そしてポリエステル加工をしてあるマグカップは、形も一般的な寸胴型なものが大半。その理由は熱圧着する昇華プリントの機械が寸胴型にしか対応していないものがほとんどだからです。そのため昇華プリントによる印刷は、元となる陶器の色や形が、白・寸胴型に制限されてしまうという特徴があるのです。
転写絵付のデザイン再現度は?
転写絵付では、印刷された色が下地となる釉薬の色をしっかりと遮断することが出来ます。そのため黒い陶器に印刷を施しても、釉薬の色に影響されずにしっかり発色させることが可能です。
また印刷における滲みなどもほとんどなく、昇華プリントよりも緻密にデザインを再現することが出来ます。
ブルー地のマグカップですが画像の通り、転写絵付を施したマグカップ(右)の方は柄が鮮明です。昇華プリントを施したマグカップ(左)は少々文字の輪郭がぼやけています。
さらに転写絵付なら、陶器のどの箇所でも印刷可能。マグカップの外側はもちろん、内側や底面でも印刷出来るのです。
転写絵付は個性的なオリジナルデザインの印刷にも柔軟に対応できます。
黒のマグカップに綺麗に印刷するためには
転写絵付はデザインの再現度が高いとはいえ、場合によっては柄と背景の境界が分かりにくくなってしまうこともあります。例えば黒い陶器に、茶色の柄を印刷するときなど。
そんな時には、「下白(したしろ)」や「二度刷り(にどずり)」という方法を用います。
下白は印刷をする柄と陶器本体の間に、白い色の版を1版敷くという方法です。これにより柄の部分だけ黒地の黒を遮断し、柄の色を引き立たせることが出来ます。
また二度刷りは、柄の発色をより上げるために絵具の顔料の層を厚くするという方法です。同じ版で2回刷ることで顔料の厚みが2倍となり、下地の黒がより一層遮断され、柄が際立ちます。
このような方法を利用すれば、黒に負けてしまいがちなカラーリングでも綺麗にクッキリと印刷することが出来ます。
黒い食器や陶器は作れる制作会社が少ない
黒い食器や陶器を作るには、転写絵付を用いる必要があります。
しかし陶磁器業界に伝わる転写絵付には職人の技、そして色ごとに版を1つ1つ制作するコストがかかります。さらに転写絵付で印刷をしたとしても、先ほどご紹介した下白や二度刷りといった工夫を加える必要がある場合もあります。
このような理由から黒い食器や陶器を作れる制作会社は、陶磁器専門のメーカーに限られ比較的少ない傾向にあるのです。
黒いマグカップをオススメする理由
背景が黒いと細かいデザイン、白が映える
制作が難しいとされる黒のマグカップですが、実はあらゆるメリットがあります。その1つが「印刷が映える」というもの。
黒いマグカップの印刷には、転写絵付を用います。この手法なら、かなり細かい柄やイラストを印刷可能です。
細かい柄もにじんだり、ぼやけたりすることなく、くっきりと印刷できます。さらに黒い背景がより一層、柄を映えさせるでしょう。
柄の見やすさという観点でも、黒を背景にするのは有効といえます。
特に白い文字や柄を印刷する場合、黒い背景は引き立て役として最適です。白抜きのロゴはあらゆる企業ブランドでもロゴとして採用されています。
例えばファッションブランドの「GAP」、さらには飲料メーカー「コカ・コーラ」など、いずれも文字は白色です。
このように白い印刷をグッと際立たせるのに、黒い背景は一役買ってくれます。
物販イベントやECサイトでの販売で売れる!?
物販イベントやECサイトでオリジナルマグカップの販売を考えている方もいるでしょう。そんな方にとって、黒いマグカップは非常におすすめです。
マグカップはオリジナルグッズの中でも、非常にポピュラーなアイテムといえます。アイテム自体もそこまで大きくなく、価格もTシャツなどといったオリジナルアイテムと比べればリーズナブルです。また自宅用・ギフト用・またはインテリアとして使うなど、あらゆる使い方が出来ます。
さらに黒という色はどんな柄でも、シックでお洒落にまとめあげてくれるというメリットがあります。
また黒は日常生活に溶け込みやすいカラーです。あらゆるインテリアや生活空間になじみます。黒はピンクや青と異なり、イメージで使用者が限定されません。男性や女性、年齢などの分け隔てなく、誰でも違和感なく使うことが出来るカラーです。
そのため黒いマグカップは、誰でも手に取りやすい商品といえるでしょう。売ることを考えるなら幅広い顧客を想定して、誰もが使いやすいものを制作するのが一番です。
こうした販売の観点で見ても、黒いマグカップは非常に優秀なアイテムといえます。
カフェ用のマグカップやOEMの記念品などでのブランドデザイン
カフェや飲食店などでは、お店のロゴをワンポイントで入れることも少なくありません。
黒は落ち着きや信頼感を持たせてくれる色です。白と黒、赤と黒、ピンクと黒、どんな色のロゴと合わせても、落ち着いて見える配色になるでしょう。
すでにロゴのカラーが決まっていたとしても、マッチさせやすいカラーといえます。もしくは白抜きでロゴや店名を入れるだけでも、モノトーンでお洒落なマグカップに仕上がるのが黒のメリットです。
またOEMのグッズなどを制作する場面にもおすすめです。記念の年やロゴをワンポイント入れるだけで、黒がデザインを引き締めてくれます。
さらに黒には高級感を演出できるというメリットも。そのため自社ブランドに高級感や荘厳な印象を持たせたい場合も、黒をベースとしたカラーリングは効果的です。
まとめて発注することでお値段がリーズナブルに
実は転写絵付には、「発注する商品の数が多ければ多いほどお得になる」というメリットがあります。これは黒いマグカップに限らず、転写絵付で印刷された陶器全般にいえることです。
というのも、転写絵付けには「版」の制作が必須となります。1つのデザインカラーにつき1つの版。版の制作は固定費として、発注数の有無に関わらず発生するものです。
裏を返せば、1つの版を何度も使って印刷を量産することが出来ます。
つまり多く発注する程、1つの商品にかかる費用が安くなります。これは版の制作における固定費を大きい母数で割るほど、1点あたりの費用を抑えられるからです。
10点より100点、100点より1,000点の方がお得になるというわけです。
一方、昇華プリントはどうでしょうか。昇華プリントは版を用いず、昇華プリンターで印刷します。この手間は、何回印刷しても変わりません。
価格が発注個数に比例してお得になるのは、転写絵付による印刷ならではのメリットといえます。
黒いマグカップのまとめ
黒いマグカップの制作方法をご紹介しました。黒いマグカップを作るには、転写絵付という印刷方法を用い、場合に応じて印刷を引き立てるための工夫を施します。
さらに黒いマグカップには、デザイン性の高さなどといった魅力がたくさん。グッズ化するにも適したカラーであることがお分かりいただけたかと思います。
弊社ではそんな黒いマグカップをはじめ、あらゆるカラーの陶器制作に対応しています。
また色だけでなく形や印刷の箇所など、様々なこだわりに対応いたします。
土から成型し、カラーリングまでとことんこだわってイチから作るオリジナルの食器は、きっとこだわりのグッズ制作に貢献できると思います。お気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
私たちの生活、そして食事に欠かすことのできない「陶器」。
マグカップやプレートなど、あらゆるシーンで私たちは陶器を使用します。
そんな身近な存在である陶器ですが、食の安全という点においてはその制作に非常に厳しい基準が設けられているのが特徴です。
食器として利用する陶器には、盛り付けた料理や中に入れた飲み物を口にしても問題ないレベルの高い安全性が求められます。そのため一般にはあまり知られていませんが、陶器には食べ物と同様の「食品衛生法」が適用されています。
このように、陶器の制作には細心の注意が必要といえます。私たちが普段から何気なく使う陶器の安全性は、こうした影ながらの努力によって保証されているのです。
そこで今回は、「安心・安全な陶器を作るためのポイント」について詳しくご紹介していきます。
食の安全にもこだわったオリジナルのマグカップやプレートを作る方法
陶器にはあらゆる色や形状のものがあります。コーヒーを入れるマグカップや、スイーツを乗せるプレート。食べ物や飲み物を入れる陶器であれば、これら全てに安全性が求められます。
では安全な陶器を作るには、どういった注意が必要なのでしょうか。安全性の高い陶器づくりのポイントをご説明していきます。
安全にこだわった印刷とは?
まず、「安全にこだわった印刷」とはどのようなものなのでしょうか。
前提として陶器は食べ物をよそい、口をつける可能性のあるものです。そのため陶器には食品と同等の安全性が求められます。
陶器の原材料は粉砕した石や粘土で、健康を害するリスクはありません。しかし本体に色をつけたり、絵付けを行う過程で、無機顔料を使用します。
陶器の制作において最も気を付けるべき成分は、無機顔料に含まれる「鉛(なまり)」、そして「カドミウム」という成分です。
鉛やカドミウムは陶器に必ず含まれているわけではなく、ビビッドで鮮やかなカラーを出したい時などにしばしば使用されます。
いずれも一定量を摂取すると、鉛は鉛中毒、カドミウムは腎臓疾患や関節障害・貧血などといった健康被害を発生する恐れがあるのです。
ちなみにこれらの成分が、陶器に含有されていること自体を、食品衛生法自体で問題視している訳ではありません。使用しているうちに鉛やカドミウムが溶け出し、それを食品と共に摂取してしまうリスクが問題とされています。
つまり安全な陶器とは、鉛とカドミウムの「溶出量」が安全なレベルに収まっているもののことを指します。また安全値に収めるだけでなく、健康に全く影響がないレベルまで溶出量を抑えることが、安全へのこだわりといえます。
鉛・カドミウムの基準値は法律で定められている
人体にとって有害な鉛とカドミウム。
陶器におけるこれらの溶出量は、国の規定した基準値の範囲内に収める必要があります。この、国の規定した基準値が示されている法律こそが「食品衛生法」です。
食品衛生法は、食品だけでなく「飲食にまつわる全てのリスク」を回避するために作られたもの。そのため、食品に対してだけでなく食器や容器、おもちゃにまで成分規定を設けています。
陶器の場合は健康被害が懸念される成分として、鉛とカドミウムの溶出量を検査することが義務付けられているのです。
形状によっても異なる基準値
陶器の形状や大きさは様々です。そのため食品衛生法では、陶器の形状に応じてそれぞれ鉛とカドミウムの基準値を設けています。
溶出量を検査するにあたり、陶器は大きく4種類の区分に分かれます。
陶器の区分と、基準値は以下の表の通りです。
陶器は深さと容量によって基準値が分かれています。例えば深さがほとんどなく平らなお皿の場合は、区分Ⅰに分類されます。
一方、深さが2.5cm以上あり容量が1.1ℓ未満のマグカップなどは区分Ⅱです。このように、形状や容量に応じて鉛とカドミウムの基準値が異なります。
安全性を検査する「食品衛生検査」
日本の食品衛生法は、非常に厳しい基準で作られています。その基準の高さは食品衛生法に基づく検査、「食品衛生検査」を見れば分かります。
陶器に含まれる鉛やカドミウムは、酸性の成分に触れると溶け出す傾向があります。つまりお酢などの成分に反応して溶け出すのです。
陶器の食品衛生検査では、まず陶器の中に酢酸を満たします。そして常温で放置すること24時間。その後、陶器の中に溶け出した鉛とカドミウムの量を測定します。
このように食品衛生検査では、最も多くの鉛とカドミウムが溶出する条件下で検査を行うのが特徴です。
実際に陶器を使う上でただパンを乗せたり、コーヒーを注いたりするだけなら鉛とカドミウムはほとんど溶出しません。そのためほとんどの使用条件下において、溶出する鉛とカドミウムは食品衛生検査の結果よりも少ない数値になると考えられます。
食品衛生検査では念には念を入れて、厳しい品質基準を設けているのです。
安全なオリジナルの陶器を制作するために
レストランやカフェなどといった飲食店では、オリジナルの陶器を作って使用するということも珍しくありません。オリジナル陶器はお店の雰囲気やイメージ作り大きな役割を果たしてくれます。しかしオリジナル陶器の制作には、安全性に十分留意して制作する必要があります。
当然、食品衛生法の基準上、問題の無い品質に仕上げるためにはあらかじめ食品衛生検査を行います。ではどのような陶器で、どれだけの鉛やカドミウムが検出されるのでしょうか。
ここからは検査の一例と、より安全な陶器を制作するための方法についてご紹介していきます。
マグカップやプレート本体の色は問題ない
基本的に陶器を制作する上で注意すべき点は本体のカラーでなく、転写された絵柄の部分です。
とはいえ、本体に塗られる釉薬という材料にも、カドミウムや鉛は含まれている場合があります。しかし国産で、かつ最適な温度で焼き上げられた陶器であれば、本体から基準値以上の鉛やカドミウムが検出されることはほぼありません。
釉薬を塗った状態の陶器は、「本焼き」という工程に入ります。陶器を焼き上げる温度は1,200℃以上の高温です。その際、熱で溶けて液状化したガラス成分の中にカドミウムや鉛が溶け混みます。
そして冷えればガラス成分は固まり、鉛やカドミウムを外側からカバーしてくれるのです。そのため高温で焼き上げ、なおかつ釉薬に適した調合が出来てさえいれば、鉛やカドミウムの溶出はほとんどないといえます。
赤や黄色といったプリントカラーの時は注意が必要
一方、赤や黄色など鮮やかな色をプリントする際は注意が必要です。ちなみに黒や白、落ち着いたブルーやブラウンなどといったカラーには、ほとんど鉛やカドミウムが含まれておらず、これらが溶け出す心配はまずありません。
上絵付とよばれる工程で使われる顔料の中では、赤やオレンジ、黄色などの色にはカドミウムが含まれます。
その検証として、直径20cmのプレート全面にオレンジ色の転写絵付を施した食器(上の写真左)を検査しました。
すると食品衛生法の基準値が0.5µg/㎖未満なのに対し、なんと2.5µg/㎖ものカドミウムが検出されたのです。真っ赤な色の場合(上の写真右)は、0.17µg/㎖という結果でした。
これを見る限り鮮やかな色の装飾をする際には、細心の注意が必要であるということが分かります。当然ながら鉛とカドミウムの溶出基準値を超えた陶器は、健康被害を及ぼすリスクがあるといえます。食品をのせる食器としては、とても販売することが出来ません。
鉛・カドミウムが出やすい色でも、印刷範囲が狭ければOK
では印刷の範囲を狭めたらどうなるでしょうか。
次に白い本体にワンポイント「TOUKI」と記載したプレートで再度検査を行いました。
赤いロゴの場合(上の写真右)はカドミウムのみが0.02µg/㎖という結果に。そしてオレンジ(上の写真左)も同じく、カドミウムのみが0.14µg/㎖という結果になりました。
ちなみに食品衛生法で定められている基準値は0.5µg/㎖未満です。いずれもワンポイントのロゴであれば、基準値を超えることはありませんでした。
しかしプレートを使い込めば使い込むほど、鉛やカドミウムが少しずつ溶け出すリスクがあります。小さなロゴの印刷で食品衛生法の溶出基準値を満たしていても、こうしたリスクはゼロではありません。
万が一基準値を越えてしまいそうな時には「フラッキス」を使用
赤やオレンジなどといったカラーは鉛やカドミウムの含有量が高く、食品衛生法の基準値にも触れやすいことが分かりました。
では安全な陶器を作るためには、赤やオレンジは使えないのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
実は赤やオレンジを安全に使用できる方法があります。それは「フラッキス」を利用する、というものです。フラッキスはほぼ100%の成分をガラスが占めている、いわばコーティング剤です。
このフラッキスを製造過程の最後に施すことにより、鉛やカドミウムが溶け出すのを防いでくれます。釉薬から有害物質が検出されないのと同じ原理で、鉛やカドミウムをガラスの中に閉じ込めるのです。
ちなみにガラスの細かい粉のことを「フリット」と呼び、フラッキスはフリットを用いたコーティング剤のことを指します。フラッキスで陶器をコーティングすると、耐酸効果が得られます。酸で溶け出しやすい鉛やカドミウムが溶出するのを抑える効果があるのです。
実際に、このフラッキスの効果を検証しました。
使用したのは先ほどの検証で食品衛生法の基準値を大きく上回った、全面にオレンジの塗料を塗ったプレート。
このお皿にフラッキスを塗り、再度検査にかけました。すると2.5µg/㎖もあったカドミウムの検出量が、0.18µg/㎖まで抑えられたのです。大幅な数値ダウンといえます。
食品衛生法での基準値は0.5µg/㎖未満。つまり基準値内に数値を収めることが出来ました。
また、0.02µg/㎖のカドミウムが検出されていた赤いロゴ入りのプレートにフラッキスを施しました。するとなんと、カドミウムは検出されなかったのです。
これはつまり微量の成分であれば、フラッキスの耐酸効果により0µg/㎖にすることが出来ることを示しています。
このフラッキスを利用すれば、色を制限されることなくオリジナルの陶器を作ることが可能だということが検証できました。
まとめ
陶器の安全性についてご紹介しました。
意外と知られていませんが、陶器の制作には食品衛生法という高い基準が設けられています。ファーストスティングではそれをクリアするだけでなく、より安全で長く使える陶器の制作を目指しています。
例えば今回ご紹介した「フラッキスによる耐酸」という方法で陶器をコーティングすれば、より高い安全性が実現出来るでしょう。
発色の良さも損なわずに安全性にもこだわった、弊社ならではの陶器です。長く、そして安心して使える陶器をご提供させていただきます。
ファーストスティングではご希望があれば、食品衛生法の基準を満たしている旨の、公的な書類の発行も可能です。制作いただく商品で検査を行い、検査結果をご用意させていただきます。
豊富なカラーや形状をご用意しておりますので、様々なこだわりに対応いたします。お気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。