デザインを凹凸(エンボス)で表現!?こだわりの絵付、撥水絵付でのオリジナルマグカップの制作方法
OEM陶器の制作ならおまかせください。
マグカップをはじめ様々な陶磁器製品・ガラス製品をご用意しています。
皆さんは、柄が凹んでいる陶器を見たことがあるでしょうか。デザインを凹凸で表現出来る手法、それを「撥水絵付」と呼びます。
撥水絵付はエンボスデザインとも呼ばれる手法です。光の当たり方による陰影も手伝って、味わい深く温かみのある、エンボス調のデザインが楽しめます。
今回はこの「撥水絵付」の方法や、特徴、他の手法との違いについて詳しくご紹介しています。一般には知名度の低い撥水絵付ですが、実は魅力がたくさん。
世界に1つのオリジナルマグカップを作ろうとお考えの方は、必見です。
撥水絵付でオリジナルのマグカップを作る方法
撥水絵付とは?
撥水絵付とは「下絵付」とよばれる、陶器における絵付方法の1つです。「エンボスデザイン」とも呼ばれます。撥水絵付をすると、柄や模様の印刷面がくぼんだ状態になります。
まるで陶器に刻印をしたようなエンボス調の風合いが撥水絵付の特徴。オリジナルマグカップの制作などによく使われる手法です。エンボスデザインは指で触ると模様やロゴの形が凹んでいるのが確認できます。
表面に凹凸があるので、光の当たり方によって模様に陰影が付くのも魅力の1つ。印刷されたデザインや文字は、マットな風合いになります。
このようなエンボスデザインには、撥水剤を混ぜた下絵の具を利用します。紙に油性のクレヨンで絵を描いた後に水彩絵の具で色を塗ると、クレヨンで描いた絵は水を弾きます。撥水絵付はこれと同じ原理を利用した手法なのです。
つまり、「油性のインク」と「水性の釉薬」との関係をうまく利用した絵付の手法といえます。色の組み合わせは自由度が高く、下地も印刷部分のカラーも豊富なバリエーションの中から選ぶことが出来ます。そのため、あらゆるオリジナルデザインにも対応可能です。
撥水絵付は、個性的なオリジナルマグカップを作るのにおすすめの手法といえます。
撥水絵付での制作工程とは?
撥水絵付の制作工程は以下の通りです。
①800℃で陶器を焼き上げる(素焼き)
②撥水性のある「呉須」というインクで絵付をする
③印刷の上から釉薬を施す(施釉)
④1,200℃~1,300℃の本窯で焼き上げる(本焼き)
⑤完成!
撥水絵付は、素焼きの陶器に釉薬を施す前に印刷を行うのが特徴です。このように釉薬の下の層に印刷を施す手法を、「下絵付」と呼びます。
これに対して、施釉(せゆう)した上から絵付する「上絵付」という手法があります。
撥水絵付において使用されるインクは、「呉須」というもの。これは撥水剤を混ぜたインクです。つまり焼き上げる前は「油性」の性質を持ちます。
そのため上から施釉しても、水性の釉薬を弾いて模様を浮き出させることが出来るのです。これが撥水絵付の最大の特徴といえるでしょう。この手法により、独特なエンボス調のデザインが演出出来ます。
ただし1,200℃〜1,300℃の窯で本焼きを行えば、水も油も焼け飛びます。そのため最終的には「油性」「水性」といった性質は無くなり、安全な陶器として仕上がります。
転写絵付との違いについて
他の絵付方法の一つとして、「転写絵付(てんしゃえつけ)」が挙げられます。この転写絵付と撥水絵付の違いは、「絵付のタイミング」です。
撥水絵付は施釉の前に、素焼きされた陶器の表面に直接絵付をします。これは釉薬の下側に印刷が施される「下絵付」と呼ばれる手法です。
一方、転写絵付の場合は施釉の後に1,200〜1,300℃の窯で本焼成し、一旦無地の陶器として焼き上げます。その後焼き上げた陶器の上に印刷を行います。これは焼きあがった陶器の釉薬の上から印刷を施す「上絵付」と呼ばれる手法です。
つまり素焼きの後(施釉前)に印刷するか、施釉後に印刷するかが、2種類の手法における大きな違いといえます。
手法についてさらに細かく見て行きましょう。撥水絵付は、油性の呉須が釉薬を弾く性質を利用した手法です。そのため仕上がりは、その時々で微妙な個体差が出ます。よく言えば「味わい」です。
これは呉須と釉薬の相性・温度による弾き具合・陶器の収縮具合によるもの。あまりに細い線を印刷しようとすると釉薬を弾ききれず、線の上にわずかに釉薬の色が乗ってしまう場合も。
逆に釉薬が乗るべき場所に乗らず、微妙に素焼きの地色が出てしまうこともあります。ただし全く違うものが仕上がってしまうわけではなく、味わいの範囲の中の個体差です。またこうした個体差もデザインを工夫することで、ある程度目立たないようにすることも出来ます。
このように撥水絵付は量産したとしても、それぞれを1点ものとして楽しめます。
一方転写絵付の場合は、本焼きの後に印刷をします。その際、色ごとに分けて「版」を制作します。版で刷ったデザインは転写紙という紙に印刷されます。この手法はシルク印刷というものです。
そしてその転写紙を陶器に貼り付け、約800℃の絵付窯で柄を焼き付けます。転写絵付は版を用いて一旦転写紙に精密に印刷されたものを絵付するため、量産すると同じものが大量に仕上がります。
つまり転写絵付は個々の仕上がりに個体差が少ない手法なのです。さらに撥水絵付と異なり、細かな印刷も可能。0.2ミリ単位の細さの線をクッキリと印刷することも出来ます。
当然、手法が異なれば陶器の仕上がりも異なります。撥水絵付は先ほどご紹介した通り、印刷部分が釉薬を弾いているので印刷面が凹みます。指で触って分かるくらいの凹凸があり、エンボス調の仕上がりです。
これがエンボスデザインと呼ばれる所以です。撥水絵付は色と凹凸の両方を用いて、柄を表現できるという特徴があります。
さらに撥水絵付は量産すると個々に微妙な違いがあらわれます。個性の光るオリジナルデザインを追求したい方におすすめです。
一方、転写絵付の印刷面は平面です。指で触っても撥水絵付のような凹凸はありません。印刷部分の色と、背景となる色のコントラストで柄を表現します。
さらに細かい印刷も施すことが可能で、個々に仕上がりの差がありません。全く同じものを綺麗な仕上がりで量産したい方におすすめの印刷方法といえます。
飲食店やOEMのオリジナルマグカップ制作などの場合は、こだわるポイントに合わせて撥水絵付(エンボスデザイン)と転写絵付(フラットデザイン)を使い分けるのがオススメです。
撥水絵付に対応している制作会社は少ない
撥水絵付は誰でも出来る手法ではありません。陶器業界内ではメジャーな手法ではあるものの、陶器の扱いに精通している専門の会社でないと難しい手法です。
そのため撥水絵付に対応している制作会社は、少ない傾向にあります。
オリジナルデザインのマグカップ制作会社を検索すると、たくさんの企業が出てきます。しかし、これら全てが陶磁器に精通した専門家のいる会社とは限りません。
陶器の印刷方法の中には、陶磁器の専門的な技術を必要としない「昇華プリント」というものもあります。一般向けのオリジナル陶器制作で検索結果に出てくるものは、大半がこの昇華プリントを用いたものです。
昇華プリントは「昇華プリンター」という機械があれば、簡単に陶器に印刷が出来ます。ある程度のデザインの精度や再現度はあるものの、陶器に関する専門性は必要ありません。
どちらかといえば、Tシャツやスマホケースなどのオリジナルプリントを行っている会社が、昇華プリントのマグカップを一緒に提供していることが多いようです。
こうした理由から、撥水絵付に対応しているオリジナルマグカップの制作会社そのものが少ない傾向にあり、一般的にはあまり知られていない絵付の手法ともいえます。
よりこだわりぬいた撥水絵付のマグカップを作るために
ロゴのようなシンプルなデザインがオススメ
撥水絵付でオリジナルデザインを制作するなら「大きくロゴだけ」、といったシンプルなデザインがおすすめです。
というのも撥水絵付は、印刷にわずかな個体差が出ます。これは撥水絵付そのものが、呉須の撥水性という自然な性質に委ねられた手法だからです。
細かすぎる印刷をすると、デザインによっては柄が消えてしまったりすることもあるのです。
一方、太く大きな文字で描いたロゴなら、わずかに輪郭がぶれても個々の差が目立ちません。さらに大きなロゴなら文字そのものがつぶれることはなく、メッセージ性そのものに支障はありません。
またロゴでなくても、大きめの柄やシンプルな柄なら綺麗に仕上がる傾向にあります。
細かいデザインを再現したい時は白のマグカップ
撥水絵付では、細かいデザインが一切出来ないわけではありません。撥水絵付でオリジナルマグカップを制作する際、元々の色が白いマグカップを使用すれば細かいデザインも表現可能です。
白いマグカップといっても、白い釉薬を施したものではありません。元々の土が白く、施釉しなくても白く焼きあがるマグカップを用います。
素焼きを終えた白いマグカップに、呉須で印刷をします。その際、釉薬は透明なものを使用。これによりマグカップの表面に見える色は、元々の土の白い色と印刷の色のみになります。
この手法なら釉薬が透明なので、乗り具合や弾き具合の誤差で印刷が左右されることはありません。
細かいオリジナルデザインも、しっかりと表現することが可能です。
カラーのマグカップに撥水絵付をする時の注意点
濃い色のマグカップに、薄い色の印刷をする場合は注意が必要です。というのも細かいデザインであればあるほど、印刷のブレが目立ちやすくなってしまいます。
例えば、黒の釉薬に白い文字を入れたいとします。その場合、白い部分には釉薬が乗らないようにしなければいけません。しかし文字自体が細すぎると、意図せず黒い釉薬が乗ってしまい、字が途切れてしまうことも。
逆も然りです。文字の周囲に白で印刷を施し、釉薬の色を文字ロゴとして黒抜きにする場合を想定してみましょう。ロゴがあまりに細いと、抜いたはずの部分に釉薬が乗らない可能性もあります。すると文字は撥水した白背景と同化し、何が描いてあるのか分からない状態にもなりかねません。
また、細い部分に黒い釉薬が乗りすぎて本来撥水の白で表現したい部分にはみ出してしまい、黒い溜まりのような症状になることもあります。
そのためこうした配色の場合は、粗が目立ちにくくなるように印刷を太く大きくするのがおすすめです。また、配色を変えてこうした印刷における誤差を目立ちにくくすることもあります。
マグカップの色と撥水絵付の色を同系色にすると?
ではマグカップの色と撥水絵付の色を同系色にするとどうなるのでしょうか。撥水絵付の場合、同系色同士のデザインは印刷の誤差や粗を目立ちにくくしてくれます。
例えばライトブルーのマグカップに紺色の文字を印刷したい場合は、比較的細かいデザインでも違和感なく表現できる場合が多いでしょう。
さらにマグカップの背景と印刷に同じ色を使うことで、印刷を凹凸のみで表現することが出来ます。つまり完成品はマグカップのそのものの色にプレスを加えて、空押しをしたような状態です。色は背景と同化しても、凹凸があるのでデザインはしっかりと表現できます。
印刷がよく目立つわけではありませんが、お洒落で非常に味わいのあるオリジナルマグカップに仕上がるのが特徴です。
これが転写絵付や昇華プリントになると、文字も背景も同化してしまいがち。同系色の組み合わせでもオリジナルマグカップが制作できるのは、撥水絵付の強みといえるでしょう。
まとめ
撥水絵付の方法や特徴についてご紹介しました。あまり知られてない手法ですが、個性的なオリジナルデザインを表現するのにはうってつけの方法といえるでしょう。
1つ1つの陶器の個性を大切にしたい方や、オリジナリティと温かみのあるオリジナルマグカップを制作したいという方におすすめです。
弊社では、この撥水絵付での印刷にも対応しております。よりお客さまのイメージに近いものが出来るよう、デザインや配色などにもアドバイスさせていただきます。
さらにマグカップの形状も1からオーダーメイドが可能。弊社では土から陶器を成型しているので、あらゆる形状の陶器でオリジナルグッズを制作することが出来ます。
お好きな形の陶器に、自分だけのオリジナルデザイン。カラーも豊富に展開しておりますので、お気軽にご相談、お問い合わせください。
オリジナル陶器の制作ならおまかせください。
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