オリジナルマグカップのデザイン、著作権は大丈夫?制作時の注意点
企業のノベルティや卒業・卒園記念品として人気の高い「オリジナルマグカップ」。ブランディングの一貫として、また感謝の気持ちを形にできるアイテムとしてさまざまな場面で活用されています。
ただ、そのデザインを決める際に「このキャラクターや模様は使ってもいいの?」「流行のデザインを取り入れたいけれど、著作権は大丈夫かな?」と確かめておきたくなることもあるでしょう。
この記事では、法人の担当者としてオリジナルマグカップを制作する際に知っておきたい著作権について、法的な観点を踏まえて簡単に解説します。
マグカップのデザインで著作権は気にするべき?
そもそも著作権とは
著作権とは、イラストやキャラクター、ロゴなどの創作物を守るための権利です。著作物をつくった人(著作権者)は、原則として他人に無断で使われない権利を持っています。
著作権は登録などの手続きをしなくても、またデザイナーがプロかアマチュアかなど関係なく自動的に発生するもので、有名なキャラクターやロゴ、人気なデザインを使用する場合は基本的に著作権者からの許可が必要になります。
企業ノベルティや記念品でも、著作権は関係ある?
基本的には関係あります。
ただし、実際は「商用利用ではない(販売しない)」ことから、著作権者側も厳密に指摘してくるケースは少ないのが現状です。
たとえば、社内の周年記念や忘年会用に、担当者が北欧風の柄(明らかにマリメッコ風だが非公式)を参考にしてマグカップのデザインを作り、社内で配布したとしても「社外配布なし」「販売なし」であれば著作権者が把握しない限り、問題になることは少ないですが、厳密にはリスクがあります。
また、保護者が自主的に、園児の似顔絵とともに「アンパンマン」や「すみっコぐらし」などのキャラクターを入れてマグカップを作成する場合も、保護者が費用を出し合って、園児に配布したのなら、販売目的ではなく完全な個人・私的な範囲の利用と見なされやすいため、大きな問題にはなりづらいです。
「個人利用だからOK」は本当?
個人の範囲で楽しむ、非公開の利用であれば実際に問題になることは少ないのが現状です。ただ、SNSで写真を公開したり、通販サイトに掲載してしまうと問題視される可能性が高くなります。
「知らなかった」「ついマネした」では済まされないケースもあるため、特に法人の方は念のため注意が必要です。
NGとなる具体例|こんなデザインは要注意!
有名キャラクター・ブランドロゴ
ミッキーマウスやスヌーピー、アニメのキャラクター、ナイキやアップルなどのロゴは、著作権や商標権でしっかり保護されています。販売目的でなくても、無断使用は基本的にNGと考えておいた方がいいでしょう。
流行りのデザインの模倣(例:マリメッコ風、北欧柄)
「マリメッコ風」「ポールスミス風」などの人気デザインを参考にしたつもりが、著作権や意匠権の侵害に該当する可能性があります。似ているパターンの使い方には特に注意が必要です。
イラストACや商用NGなフリー素材の使用
フリー素材サイトでも、「商用利用不可」「クレジット表記必須」など利用条件が定められているものが多いです。フリー素材だからといって、完全に自由に使っていい素材」とは限らないのです。フリー素材サイトには、素材ごとに商用利用の可否やクレジット表記の有無などが明記されています。例えば、以下のような条件です。
- イラストAC:商用利用可。ただし再配布やロゴ化には制限あり
- いらすとや:商用利用原則可だが、大量印刷・再配布・公序良俗に反する使用は禁止
また、Google画像検索やPinterest経由で見つけた画像を使うのも少なからずリスクがあります。一見フリー素材のように見えても、実際には第三者が無断転載していることも少なくありません。
OKとなるケースとその理由
完全オリジナルのデザイン
自社でデザインしたものや、外注デザイナーに依頼して作成したオリジナルのアートワークであれば、著作権の問題は基本的に発生しません。ただし、外注の場合は著作権の帰属(誰が権利を持つか)を契約で明確にしておくことが大切です。
著作権が切れた作品(パブリックドメイン)
著作権の保護期間が終了している作品(パブリックドメイン)は自由に利用できます。たとえば浮世絵やクラシック音楽などがこれに該当します。
ただし、近年リメイクされたアレンジ版などには新たな著作権が発生している場合もあるため注意が必要です。
著作権者の許諾を得ているケース
使用したい素材に関して、著作権者から明確な許可(ライセンス)を得ている場合は問題ありません。たとえば、「商用利用OK」「著作権フリー」と明記されている素材や、公式に提供されたテンプレートなどは安心して使えます。
トラブルを避けるためにデザイン決定前に考えること
目的(商用か非商用か)を明確に
販売するわけではない、無料配布のみ、などの利用目的によって著作権の扱いは変わる可能性があります。制作前に「これはどんな用途のものか」を明確にしておくと、判断もしやすくなります。
素材の出典と使用条件をチェックする習慣を
たとえ無料で使える素材でも、配布条件や出典を確認せずに使用することはリスクにつながります。常に「出典はどこか」「利用条件は?」という視点をもつことで、思わぬトラブルを防ぐことができます。
制作会社・印刷業者に相談するのも手
専門業者であれば、著作権的に問題のない素材を紹介してくれる場合もあります。また、自社で用意した素材について、使用可能かどうかの確認もしてくれることがあるため、不安な場合は早めに相談するのがおすすめです。
おわりに
オリジナルマグカップは、思い出やブランドの魅力を形に残せる素敵な選択肢です。
実際には、個人利用・非商用であれば黙認されているケースも多いのですが、法人としての制作では念のためリスクを回避する意識をもっておくと安心です。
著作権をしっかり理解した上で、安全なデザインで記念に残るマグカップを制作しましょう。